更新日:2025年6月24日
民間の医療保険は、公的制度だけではまかないきれない自己負担分のカバーを目的に加入します。しかしすでに持病がある方や、最近入院や手術を受けた方などは、一般的な医療保険への加入が難しい場合もあります。このような場合でも、簡単な告知で加入できるのが、持病がある方向け医療保険です。この記事では、持病がある方向け医療療保険の特徴や加入する際の注意点などを詳しく解説します。
医療保険に加入するときは、現在や過去の身体の状況や年齢・性別・職業などを告知する必要があります。
医療保険は加入者の保険料で支え合う相互扶助の仕組みから成り立っています。そのため年齢や性別、持病の有無にかかわらず無条件で加入できてしまうと、保険料負担の公平性が保たれなくなってしまいます。
一般的な医療保険では、現在や過去の身体の状況を詳しく告知する必要があります。その結果、「無条件の引受け」や「条件付きの引受け(保険料の割増など)」になったり、保険会社が引受けを断る場合もあります。
持病がある方向け医療保険は、一般的な医療保険に比べ告知内容が緩和されています。緩和された質問のすべてに「いいえ」と回答した場合、無条件で加入できる仕組みとなっています。

なぜ多くの保険会社で持病がある方向け医療保険が販売されているのでしょうか。
先に述べたように、一般の医療保険では、過去や現在の病歴や現在の身体の状況によって、加入できないケースがあります。
また、日本は公的医療保険や高額療養費制度があり治療を受けやすい環境にありますが、かつて例のない高齢化社会に直面しています。
厚生労働省の患者調査によると、下記のグラフの通り、60歳を超えると入院受療率がうなぎ上りとなることがわかります。今は治療を受けやすい環境にあるとはいえ、高齢になるにつれて医療費の自己負担額は大きな負担になっていくでしょう。

そのような背景から、今までは保険加入をあきらめていた人でも、比較的簡単に加入できる持病がある方向け医療保険のニーズが高まってきたといえます。
通常の医療保険では以下のような告知項目に対し、「はい」か「いいえ」の回答を行う必要があります。
回答が「はい」の場合は、病名や経過、現在の状況、数値などを詳細に告知しなければなりません。その結果をもとに、保険会社が医療保険を引受けられるか査定を行い「無条件の引受け」、「特別な条件を付けての引受け」、また「引受けをお断りする」のいずれかになります。
今まで、持病がある方にとっては通常の医療保険は申込のハードルが高く、加入をあきらめる方も多くいました。すべての方が加入できるわけではありませんが、限られた告知項目を満たせば、やや高めの保険料を支払うことで医療保険に加入できるように設計されているのが持病がある方向け医療保険です。
通常の医療保険では加入が難しい糖尿病や精神疾患なども、限られた病気を除けば加入できるので、ますます高齢化が進む現代においてニーズの高い商品となっています。
持病がある方向け医療保険の保障内容は、基本的には同じ保険会社の一般の医療保険と同じ形をとっています。ただし、保障プランの選択肢が限られていたり、特約の保険金額の上限が低かったり付帯できる特約の数が少なくなっていたりなど、一般の医療保険に比べると選べる範囲が狭い設定になっています。
なお、持病がある方向け医療保険が登場した当初は、加入から1年間は保障が半額となる「削減期間」がある商品もありましたが、現在ではだいぶ少なくなっており、使い勝手も大幅に向上しています。
持病がある方向け医療保険では、基本的な3つの告知が「いいえ」に該当すれば加入可能です。
また、払込免除や特定疾病の一時金などの特約を付けたい場合は、追加で2つまたは3つの告知に対し「いいえ」と答える必要があります。
持病がある方向け医療保険が一般の医療保険と大きく異なるのが加入の年齢条件です。一般の医療保険の加入年齢は0歳から85歳までが主流となっていますが、持病がある方向け医療保険は20歳から85歳までとなっています。
先天的な持病や後天的な慢性疾患があるお子さんの場合、20歳になるまで持病がある方向け医療保険には加入できないので注意が必要です。
持病がある方向け医療保険は一般の医療保険と保障の構成はほとんど変わりません。以下のようなさまざまな給付金や特約が準備されています。
なお以前の持病がある方向け医療保険では、上皮内がんの場合、給付が対象外となったり保障も50%まで制限されたりする商品がありましたが、現在は他の病気と同額保障というものが増えています。
持病がある方向け医療保険の保障期間は多くの場合終身型です。病気やけがに不安を感じる方が加入するため一生涯の保障が受けられ、しかも加入した時点から保険料はずっと変わらないのが一般的です。
なお、数は少ないですが定期型の持病がある方向け医療保険も存在します。現在入っている医療保険では保障が物足りないが一般の保険には入りにくい場合に、特定の給付金を上乗せできる商品があります。
こうした商品は保障期間が10年などの定期型かつ更新型の設定となっているため、年齢が上がるごとに保険料も上がります。現役世代にとっては、収入減への備えにもなるでしょう。
持病がある方向け医療保険を一般の医療保険と比べると、設定できる保険金額の上限が低かったり、選べるプランの幅が狭かったりする点が異なります。
ただし、一般の医療保険と設定できる保障内容がほとんど変わらない商品もあるので、各社の商品を比較・検討してみるとよいでしょう。
告知が簡単といっても、持病がある方向け医療保険は加入にあたっての条件があります。告知項目は持病がある方向け医療保険を選ぶ際に最も重要なポイントですので、必ず詳細を確認しましょう。
持病がある方向け医療保険のパンフレットを開くとすぐに、告知項目が見開きで掲載されています。これらの告知項目すべてに「いいえ」で答えられれば、持病がある方向け医療保険に申込むことができます。
告知項目はおおむね似たような内容になっていますが、保険会社により若干異なる部分もあります。まずはご自身が加入できるかどうか、確認してみましょう。
基本の3項目は以下の通りです。
なお、告知項目の対象外となる病気・けがや手術もあります。対象となる病気は保険会社により異なり、がんの経過観察についても各社で条件が異なるため注意が必要です。
なお、持病がある方向け医療保険の商品パンフレットは、各保険会社のWebサイトや保険比較サイトで閲覧することが可能です。比較して自分の身体の状態にあった商品を選びましょう。
なお、オプションを追加する場合は、さらに以下のような2項目の告知があります。
■ 特定疾病払込免除、特定疾病(三大疾病)一時金特約、がん診断一時金特約などを付帯する場合
基本の3項目に比べ、ここで問われる病名などは各保険会社で違いがあります。また、これらの告知項目は払込免除やまとまった一時金を付帯するためものなので、基本の項目に比べ厳しい告知になっています。
質問に該当する病名についてはパンフレット上に詳しい記載があるため、必ず詳細まで目を通すようにしましょう。商品選びに迷った際は、保険の専門家に相談するのもひとつの方法です。
持病がある方向け医療保険は、健康に不安のある方を引受ける保険ですから、現在の健康状態に問題のない方が加入する医療保険に比べ、保険料は割高になっています。よって保険料の負担が大きいのはやむを得ない面もありますが、その結果として家計の負担が過度に大きくなってしまっては本末転倒です。
手厚い保障は必要ですが、ご自身がどのようなリスクに不安を感じているのかをよく考え、保障内容を絞り込むことも大切です。
持病があって医療保険への加入をあきらめていた方が、簡単な告知で加入できるという理由で持病がある方向け医療保険を選ぶケースがあります。
しかし、持病があっても一般の医療保険に加入できないわけではありません。一般の医療保険で、現在の治療状況や治療によってコントロールされた数値などを告知することで、持病があっても一般の医療保険に加入できることもあります。
よって持病がある方向け医療保険に入る前には、ぜひ一度保険の専門家に相談してみましょう。緩和型と一般の医療保険を同時に申込める保険会社もあるため、手間がかからず、場合によっては一般の医療保険に加入できる可能性もあります。
少子化や未婚率の増加で、日本では独身世帯が増える傾向にあります。病気やけがをした際に身内に頼れる人がいない場合には、有料のサービスを利用するケースも考えられます。そうした場合に備えて医療保険に加入しておくことが、経済的な支えとなります。
これまで医療保険の加入をあきらめていた方も、持病がある方向け医療保険を上手に活用してリスクに備えましょう。