更新日:2026年6月17日
学資保険は、教育資金を準備する方法の1つです。教育資金は人生の三大出費といわれるほど高額のため、事前の準備が大切です。 子どもが望む進路をかなえたいと考える保護者は多いでしょう。この記事では、学資保険の特徴とともに、選び方のコツを紹介します。
学資保険は、子どもの教育資金を準備する方法の1つで、教育資金準備に特化した保険です。親などの保護者が契約者として保険料を払込み、子どもの成長に合わせて一時金や満期保険金を受け取ります。保険期間中、契約者に万が一のことがあった場合は、保険料の払込みが免除になるのが一般的です。
また残された子どもの生活資金も準備できる「育英年金付学資保険」という選択肢もあります。育英年金は契約者の死亡保障のようなしくみで、学資保険の満期まで定期的に決まった金額を受け取ることができます。
教育資金は高額といわれますが、実際はどのくらいかかるのでしょう?教育にかかるお金は、進学先や各家庭の教育方針、子ども自身の希望によって異なります。ここでは、参考として子ども1人あたりの平均額を紹介します。
表1 幼稚園から大学卒業までの教育資金平均額(単位:円)
| 公立(大学は国立) | 私立 | ||
|---|---|---|---|---|
1年間 | 在学中 | 1年間 | 在学中 | |
幼稚園 | 184,646 | 553,938 | 347,338 | 1,042,014 |
小学校 | 336,265 | 2,017,590 | 1,828,112 | 10,968,672 |
中学校 | 542,475 | 1,627,425 | 1,560,359 | 4,681,077 |
高等学校 | 597,752 | 1,793,256 | 1,030,283 | 3,090,849 |
大学 | 1,460,500 | 5,842,000 | 1,939,600 | 7,758,400 |
合計 |
| 11,834,209 |
| 27,541,012 |
※幼稚園から高等学校までは、学校への納入金、給食費、学校外活動費を含みます。
※大学は学校納入金、生活費を含みます。
※表の金額は補助金などを活用する前の金額です。保護者が実際に負担した金額とは異なります。
出典:文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」(https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa03/gakushuuhi/kekka/k_detail/mext_00002.html)及び
独立行政法人日本学生支援機構「令和4年度学生生活調査」(https://www.jasso.go.jp/statistics/gakusei_chosa/__icsFiles/afieldfile/2024/03/25/data22_all.pdf)[1]
仮に幼稚園から高等学校まで公立に通い、国立の大学に進学した場合、教育費の合計は約1,183万円でした。対して幼稚園から大学まで私立に通った場合は約2,754万円で国公立に進学した場合と比べて2倍以上の差が生じました。
1年間の教育費で比較すると、国公立も私立も大学が最も教育費がかかっていますが、私立では小学校から1年間の教育費が100万円を超えるという結果になりました。
大学や専門学校は、国公立でも私立でも教育費が高額となるため、時間をかけ、無理せず計画的に資金準備を行うことが大切でしょう。
資金準備の代表的な方法として、保険・貯蓄・運用があります。それぞれの特徴や注意点は次の通りです。
表2 教育資金準備の代表的な方法
| 特徴 | 注意点 |
|---|---|---|
保険 | 貯蓄性のある保険を契約し、教育資金が必要な時期に保険金や解約返戻金を受け取る。 保険料払込額に応じて税制優遇制度がある。 | 家計の状況が変わると、保険料の払込みが負担になる可能性がある。 インフレリスクがある。 |
貯蓄 | 積立などを利用して目標金額を貯める。 貯蓄額や貯蓄ペースなどを家計の状況に合わせて調整しやすい。 | 突発的な出費の支払いに充てられてしまい、貯蓄計画が崩れる場合がある。 目標額に達する前に保護者に万が一のことがあると、十分な資金が準備できない可能性がある。 |
運用 | 投資などを活用して教育資金を準備する。 運用成績によっては保険や貯蓄より効率よく資産形成ができる。 | 教育資金が必要な時期の資産予測が難しい。 資産形成中に保護者に万が一のことがあると、十分な資金が準備できない場合がある。 |
保険は契約時に受け取れる教育資金額が確定しますが、貯蓄や運用は時間をかけて目標額の資産を作ります。貯蓄や運用は、比較的自由度が高いので、好みに合わせて選択したり、複数の方法を活用したりするのも有効です。
学資保険は、契約時に決めたタイミングで祝金や満期保険金を受け取り、教育資金に活用します。祝金は契約中に受け取る一時金で、保険会社によって学資一時金とよばれることもあります。
学資保険は、長期で契約するため、保険料負担が生活を圧迫しないよう注意します。もし、契約中に保険料の払込みが負担に感じるようになった場合は、受け取れる保険金を減らして、保険料を下げたり、保険料の払込みを止めたりして契約を継続する方法もあります。

図1 保険金変更のイメージ
もし、保険料の払込みによる負担が一過性のものである場合は、契約者貸付制度を利用して継続するという方法もあります。契約者貸付制度は、解約返戻金の一定の割合内で保険会社からお金を借りる制度です。
このような方法を使っても継続が難しい場合は、解約を考えるかもしれません。学資保険は途中解約すると、解約時に解約返戻金という払戻金があります。しかし、払い込んだ保険料より解約返戻金が少ない「元本割れ」になる可能性が高く、安易な解約には注意が必要です。
学資保険で教育資金を準備するメリットを確認しておきましょう。
学資保険は、前述のとおり、保険の契約者である保護者に万が一のことがあった場合は、保険料の払込みが免除されます。

図2 学資保険の保険料免除イメージ
保険料が免除されても、契約で決めたタイミングで祝金や満期保険金を受け取れます。このしくみにより、契約者の万が一に備えながら、教育資金を準備できるという特徴があります。
学資保険は、1年間の保険料払込額に応じて所得税や住民税の負担を軽減する効果があります。年末調整や確定申告時に「生命保険料控除」の申告をすると、所得税は最大40,000円、住民税は最大28,000円の控除が適用されます。
控除が適用されると、その金額分所得税や住民税の対象になる金額が減り、納税額が減ります。
学資保険で教育資金を準備するのが向いている人はどのような人か、特徴を整理していきましょう。
学資保険は契約者に万が一のことがあると、保険料の負担なしで祝金や満期保険金が受け取れます。そのため、契約時の計画通りに教育資金を準備できます。
さらに、育英年金付学資保険は契約者に万が一のことがあると、年金を受け取れ、満期までの資金不足にも備えることができます。契約者に何か起きても確実に教育資金を準備したい場合は、学資保険が向いていると考えられます。
学資保険は、毎月定額の保険料を払い込まなければならないため、計画的な貯蓄が苦手な人でも強制的に教育資金を準備しやすく、預金のように簡単にお金を引出せない学資保険が向いているかもしれません。
学資保険は契約に基づいて祝金や満期保険金が受け取れます。運用のように受取額が変動するものや、終身死亡保険のように解約タイミングによって受取額が変わってしまうしくみが不安な人は学資保険が向いていると考えられます。
学資保険を選ぶときには、検討するポイントがいくつかあります。代表的なものを解説していきます。
学資保険は、契約によって満期保険金を受け取る時期や、祝金の受取回数などが異なります。例えば、大学入学時の契約満了時に満期保険金を一括で受け取るものや、満期保険金に加えて小中学校や高校の入学タイミングで一時金を受け取れるものがあります。
学資保険選択の際には、どの時期の資金準備に充てるか検討してみましょう。

図3 学資保険の祝金、満期保険金の受け取り方の例
学資保険で準備する教育資金額を検討します。2章の金額を参考にしつつ、子どもの進路計画をもとに、いつ・いくら必要になるか試算し、学資保険でいくら準備するか検討します。例えば中学・高校の入学時に10万円ずつ、大学入学時に200万円など、想定していきます。
なお、祝金受け取りのタイミングで貯蓄などの資産で賄える場合は、契約中の祝金を受け取らずに保険会社に運用を任せることも可能です。満期保険金受取のタイミングで、祝金に利息が付いた分を受け取ることができます。
返礼率とは、払い込んだ保険料と、受け取る金額の比率です。求め方は「(受取総額÷払込保険料総額)×100%」で、100%を超えれば受け取った金額の方が多いことを表しています。
例えば、払い込んだ保険料が200万円で受け取った金額の合計が220万であれば、返礼率は次のように求められます。
(220万円÷200万円)×100%=110%
返礼率が高ければ高いほど効率よく資金が増える保険だといえます。
受け取る祝金や満期保険金の総額と契約期間が同程度であれば、保険料の払込期間や回数によって払込む総額が異なります。契約時に1回で払込む方法は、総額が最も少なくなり、保険期間中、毎月定額の保険料を払込む方法は、総額が最も多くなります。
なお、保険料の払込回数を多くすると、1回あたりの払込額は少なくなります。家計とのバランスをみて1回ごとの保険料負担額や、保険料の払込期間を検討しましょう。
学資保険を契約するときの注意点を確認しておきましょう。
学資保険は、被保険者である子どもや契約者である保護者の年齢に制限があります。多くの保険会社では、子どもの年齢は0歳から6歳、もしくは7歳としています。10歳を超えても加入できる学資保険もありますが、同じ内容の保険で比較すると、子どもの年齢が上がるに従い、保険料の負担が大きくなります。
契約者の年齢は、保険会社や保険商品によって差がありますが、上限は50歳から60歳くらいが一般的です。70歳くらいまで加入できる学資保険もありますが、契約者の年齢が上がるに従い、同じ保険に加入する場合の保険料は高くなっていきます。これは、契約者の年齢上昇に伴い、契約期間が短くなる傾向や、契約者に万が一のことがあった場合の保険料免除の確率が高まっていくためです。
学資保険に医療保険や災害保険などの特約を付けられる保険もあります。複数の保険を1つの契約にまとめると窓口が1つで済むため、保険の管理は楽になります。
しかし、特約を付け、保障を厚くすればその分保険料も高くなります。特に、子どもの治療費は自治体が補助をしており、自己負担額がほぼかからない地域もあります。特約を付帯する場合は、本当に必要かどうか検討することも大切です。
学資保険は、途中で解約すると解約返戻金を受け取れます。受け取る金額は払い込んだ保険料や契約期間によって変わり、徐々に保険金に近づいていきます。
学資保険は、満期が近づいたころにならないと、払い込んだ保険料より受け取る金額が多くなりません。そのため、途中解約してしまうと、元本割れになる可能性が高いです。
学資保険は、祝金や満期保険金を受け取るのは契約してから10数年後、契約によっては約20年後です。受け取れる金額は契約に基づくので固定ですが、お金の価値そのものが低下している可能性があります。
例えば、現在100万円で買えるものが、20年後に120万円になったとしましょう。同じものを購入するのに、20万円不足しています。この状況は、お金の価値が相対的に下がったともいえます。

図4 インフレのイメージ
手に入る金額は100万円で変わりませんが、インフレになると100万円でできることが変わってしまう可能性があります。
受け取った祝金や満期保険金で資産が増えた場合には、税金がかかることがあります。税金の種類や税金がかかる条件は、契約の内容や得られた利益によって異なります。
契約者が生存していた場合の代表的な税金は所得税や贈与税で、所得税がかかる場合は住民税もかかります。所得税や贈与税がかかる目安は次のようになります。
表3 学資保険の祝金や満期保険金にかかる可能性のある税金
税金の種類 | 保険金受取人 | 受け取り方 | 税金がかかる目安 |
|---|---|---|---|
所得税(一時所得) | 契約者と同じ | 祝金、満期保険金 | 利益が50万円超 |
所得税(雑所得) | 契約者と同じ | 満期保険金を分割で受け取る | 自営業の場合は利益分、会社員などの場合は利益が20万円超 |
贈与税 | 契約者以外 | 祝金、満期保険金、 満期保険金を分割で受け取る | 110万円超 |
税金がかかる利益の目安は1年間の合計です。また、受け取った祝金や満期保険金以外に所得や贈与に該当するものがある場合は合算した金額で判断します。
上の表以外に、契約者が亡くなった場合は新しい契約者に相続税、育英年金を受け取った場合は所得税がかかる可能性があります。
なお、利益や納税額の計算方法などは、法律で決められています。疑問点は税理士に相談するのが確実です。
学資保険は教育資金を準備する方法の1つです。学資保険は、契約者に万が一のことがあっても、決まった時期に決まった金額を得られる安心感があります。
なお、教育資金を準備する方法はいくつかありますので、特徴を比較して自分に合ったものを選択したり、複数の方法を使ったりするのもいいかもしれません。
子どもの学びたい気持ちに応えられるよう、計画的に準備をしておきましょう。
承認番号:25-498(2029/1/7)