[前提条件] 一戸建て / 建物の構造:H構造(非耐火)、T構造(耐火) / 補償内容:火災、落雷、破裂・爆発、風・雹(ひょう)・雪災、水災、破損・汚損 / 建物の所在地:東京都 / 建物補償額:2000万円 / 面積:100㎡ / 保険料支払方法:5年一括払い / 建物の利用方法:居住のみ
更新日:2026年3月31日
火災保険とは、火災だけでなく台風や大雪、洪水などの自然災害をはじめ、盗難や水濡れといった住まいのトラブルに備える損害保険のひとつです。 補償の範囲や対象(建物・家財)、支払条件は商品によって異なり、内容を理解しないまま加入すると過不足が生じやすい点に注意が必要です。 本記事では、火災保険の基礎知識として補償の特徴から注意点・必要性・選び方について詳しく解説します。
火災保険とは、火災などの事故や災害によって、建物や家財(家具・家電など)に損害が生じた場合に、修理費用や買い替え費用などを補償する損害保険です。契約内容によっては災害に伴って発生する費用が補償されることもあります(例:残存物片づけ費用、仮修理費用など)。
補償の対象は、契約で「建物」「家財」のどちらか、または両方を選びます。
「火災保険」という名称ではありますが、火災だけでなく、落雷・台風などの風災・水災・雪災・盗難・水濡れといった住まいのさまざまなトラブルに備えられるのが特徴です(補償内容は契約によって異なります)。
なお、地震・噴火・津波を原因とする損害については、火災保険の補償対象外です。地震による損害まで備えるには、火災保険とあわせて地震保険の検討が必要となります。
火災保険は、保険会社や商品、選ぶ補償の組み合わせなどによって補償される範囲が異なります。
「どの災害や事故が補償の対象となるのか」「どのような条件で保険金が支払われるのか」「建物と家財のどちら(または両方)を対象にするか」といった条件を見積りの段階で確認しておくことが大切です。
火災保険で補償対象になる事故は、火災だけではありません。一般的には、次のような損害が対象となります。
なお、補補償の組み合わせは商品やプランによって異なり、基本補償に含まれるものと、特約として別途付帯するものに分かれます。
また、事故の種類によっては「免責金額(自己負担額)」や「支払い要件」が設定されている場合もあります。
お見積りの際は、どの事故が補償対象になるかだけでなく、「どのような条件で保険金が支払われるのか」も併せて確認することが大切です。
ここでは、一般的に補償対象になる代表的な事故について解説します。
火災保険の基本となる補償です。火災による建物・家財の損害のほか、落雷による設備の故障や、ガス漏れなどが原因となる破裂・爆発による損害などが補償の対象となります。
補償例(イメージ)
風災は、台風や暴風などの「風」による被害を指します。強風で屋根材が飛んだ、飛来物で窓ガラスが割れたといった損害が補償の対象となります。
補償例(イメージ)
雪災は、雪の重みや落雪、雪崩などによる損害を指します。雹災(ひょうさい)は、雹(ひょう)や霰(あられ)などの氷の粒によって建物が損傷する被害です。
補償例(イメージ)
水災は、台風や豪雨による洪水・高潮・土砂災害などにより、床上浸水や建物・家財に損害が出るケースを指します。必要性は立地によって差が出やすいため、ハザードマップなどでリスクを確認したうえで検討するとよいでしょう。
補償例(イメージ)
盗難によって家財が盗まれた場合や、侵入時にドアや窓が壊された場合などに補償の対象となります。なお、現金や貴金属などの高額品は、補償に上限が設けられているケースが一般的です。
補償例(イメージ)
水濡れ補償は、給排水設備の事故や上階からの漏水などにより、建物や家財が水で損害を受けた場合に補償の対象となります。ただし、経年劣化による不具合など、補償対象外となるケースもあります。
補償例(イメージ)
破損・汚損は、日常生活の中で起きた突発的な事故によって、建物や家財が壊れたり汚れたりした場合に受けられる補償です。
補償例(イメージ)
火災保険で補償の対象となるのは、大きく分けて「建物」と「家財」の2つです。契約は一般的に、次の3パターンから選びます。
どのパターンが適しているかは、居住形態(戸建て・分譲マンション・賃貸など)や家財の量などによって変わります。
ここでは、建物・家財それぞれの範囲を見ていきましょう。
「建物」は、住宅そのもの(建物本体)に加えて、建物に備え付けられている設備などが対象となるのが一般的です。たとえば、壁・床・天井などの構造部分のほか、キッチンや浴室、洗面台などの設備が含まれます。
また、門・塀、物置、車庫(カーポート)など、敷地内の付属物についても、一般的には補償の対象となります。
分譲マンションでは、一般的に専有部分(居住スペース)を対象として加入します。
※補償対象となる範囲は保険会社・商品・契約内容によって異なります。
「家財」は、室内にある家具・家電・衣類・寝具など、日常生活で使う動産(持ち運べるもの)が対象となるのが一般的です。たとえば、ソファやテーブル、冷蔵庫・テレビ・パソコン・カーテン・食器などが該当します。
なお、家財の中でも補償対象外となるものや、一定額を超える高額品については契約時に別途手続きが必要となる場合があります。
家財補償を付けるか迷ったときは、「もし家の中のものをすべて買い直したら、いくらくらいかかるか?」を想像してみると判断しやすくなります。
火災や水災などで住まいに損害が出ると、建物の修繕だけでなく、生活に必要な家具や家電の買い替えが必要になることもあるためです。
家財の保険金額は、世帯主の年齢や家族構成に応じた「家財簡易評価表(標準的な目安)」を参考にする方法と、買い直す家財を自分で積み上げて概算する方法があります。
算出した金額を、手元の資金から無理なく捻出できそうかどうかも、家財補償を検討するうえでひとつの目安となるでしょう。
火災保険は住まいのトラブルに幅広く備えられる一方で、「火災保険に入っていれば何でも補償される」というわけではありません。
ここでは、火災保険の加入前に押さえておきたい代表的な注意点を解説します。
火災保険は、火災による損害を補償する保険ですが、地震・噴火・津波を原因とする損害は、火災保険の補償対象外となるのが一般的です。
地震保険は火災保険とあわせて契約する仕組みとなっており、地震が関係する損害に備えるには、火災保険に地震保険を付帯する形で契約する必要があります(地震保険単体での契約はできません)。
一般的には1個または1組あたりの金額が30万円を超える高額な宝石や貴金属、美術品などは「明記物件」にあたり、契約時に申告しなければ補償対象とならない場合があります。なお、30万円を超える家具や家電などは明記物件には該当しません。
明記物件に該当する可能性のある家財を保有している場合は、契約時に保険会社に問い合わせて、申告が必要かどうかを確認しておくことが大切です。
火災保険は「不測かつ突発的な事故」に備える保険です。そのため、損害の原因や事故の状況によっては、補償対象外となるケースがあります。
代表例を挙げると、次のようなものです。
たとえば、水漏れや雨漏りでも、原因が「不測かつ突発的な事故」ではなく、設備の劣化や老朽化によるものと判断される場合、補償対象外となることがあります。
保険契約者や被保険者(補償を受ける人)の故意による損害は、補償対象外となるのが一般的です。また、原則として重大な過失と判断されるケースも補償の対象外となります。
損害保険には一般的に、「免責事項」と「免責金額(自己負担額)」の2つの考え方があります。
免責事項とは、契約上あらかじめ「補償の対象外」とされる事由や損害のことで、主に次のような項目が挙げられます。
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出典:日本損害保険協会|損害保険Q&A Web版「そんぽ相談ガイド」問50 火災保険は、どのような保険ですか。
たとえば、上述した「経年劣化・老朽化による損害」や「故意または重大な過失による損害」は免責事項にあたります。
一方で免責金額とは、損害が発生した際に自己負担する金額をいい、損害額が免責金額に満たないと保険金が支払われないことがあります。
免責の内容は契約によっても異なるため、加入時は補償の項目だけでなく「免責事項」と「免責金額」も確認しておくことが大切です。
火災保険は火災だけでなく、自然災害(水災・風災・雪災など)や水濡れ、盗難などによる損害も補償の対象となります。
実際、住宅における火災保険の支払い統計(2023年度)を見ると、支払件数は607,028件、支払保険金は約2,764億円にものぼります。
内訳は、次のとおりです。
事故種別 | 件数(件) | 保険金(千円)(※1) |
|---|---|---|
火災、破裂・爆発 | 7,717 | 39,893,011 |
落雷 | 50,446 | 17,794,378 |
風災・ひょう災 | 140,529 | 68,157,174 |
雪災 | 48,008 | 25,396,149 |
水災 | 7,642 | 32,291,992 |
水濡れ | 56,161 | 41,083,550 |
水濡れ以外(※2) | 296,525 | 51,769,014 |
合計 | 607,028 | 276,385,271 |
出典:損害保険料率算出機構『火災保険・地震保険の概況 2024年度(2023年度統計)』第6表「火災保険 住宅物件事故種別支払統計表」より
※1 保険金には、付帯費用を含みます。
※2 「水濡れ以外」には盗難、破損・汚損等も含まれます。
内訳を見ると、火災以外の自然災害や水濡れなどの事故でも保険金の支払いが多く発生していることが分かります。
こうした傾向を踏まえると、必要な備えは火災だけにとどまらず、「住まいの形(居住形態)」と「責任の範囲」によって変わることが考えられるでしょう。
以下では、戸建て・分譲マンション・賃貸住宅ごとに、押さえておきたい補償の考え方をまとめます。
戸建てでは、万一の際に建物も家財も自己責任による負担となるケースが多いため、まずは以下の補償を軸に検討できるとよいでしょう。
災害によって住宅に住み続けられなくなった場合でも、住宅ローンの支払いは継続されることから、住宅ローンが残っている場合はとくに、火災保険の重要性がより増します。
また、風災・雪災・水災などの補償範囲は地域差が出やすい項目です。
地域の防災マップやハザードマップなどを活用して居住地の災害リスクを確認したうえで、必要な補償範囲を取捨選択することも大切です。
分譲マンションは、個人が備える範囲(専有部分)と管理組合が備える範囲(共用部分)が分かれます。まずは「どこからどこまでを自分の火災保険で備えるべきか」を確認したうえで、次のような補償を検討しましょう。
とくにマンションで検討しておきたいのは「水濡れの補償」です。たとえば隣室で火災が起きた場合、延焼被害は免れたとしても、消火活動による放水で専有部分や家財に水濡れ被害が生じることがあります。
また、マンションの場合は水回りの事故が階下へ影響する可能性もあるため、個人賠償責任特約の有無や補償内容も確認しておくと安心です。
なお、個人賠償責任は他の保険に付帯している場合もあるため、補償が重複していないかどうかもあわせて確認するとよいでしょう。
賃貸住宅では、建物そのものは貸主側が保険に加入していることが多く、入居者は家財の補償を中心に、以下の補償を備えるのが一般的です。
「借家人賠償責任」は、借りている部屋に損害を与えた場合の貸主(大家さん)への賠償に備える補償です。
一方「個人賠償責任」では、漏水などで第三者に損害を与えた場合の賠償責任に備えます。
賃貸では「家財+賠償」のセットで検討するとよいでしょう。
ここでは、実際に火災保険を選ぶ際のポイントを6ステップでまとめました。
まずは、補償の対象を「建物」「家財」「建物+家財」のどのパターンにするかを決めます。迷う場合は、損害が出たときに自己負担でどこまで対応できそうかを目安に考えると判断しやすくなります。
次に、火災以外の補償(風災、雪災、水災、水濡れ、盗難、破損・汚損など)をどこまで付帯するか検討します。補償を広げるほど保険料は上がりやすいため、ハザードマップなどで地域の災害リスクを踏まえて取捨選択しましょう。
保険金額は、事故の際に支払われる保険金の上限です。まずは、建物と家財それぞれの評価額(現時点の価値)を基準に保険金額を設定します。
評価が適正でないと、損害額どおりの保険金が支払われない場合があるため、保険会社の見積りや目安をもとに確認するとよいでしょう。
評価の考え方には「再調達価額(新価)」と「時価」があります。
時価で設定すると、建て直しや買い替えに必要な費用が不足する可能性が高いため、現在は再調達価額をベースに設定する契約が一般的です。
火災保険の保険期間は、最短1年から最長5年の範囲で設定できます。1年契約の商品は見直しがしやすい一方で、複数年で契約すると更新が省けるほか、1年契約と比べて保険料が抑えられることがあります。
どちらが適しているかは、引っ越し予定の有無や、家計とのバランスなどを加味して検討するとよいでしょう。
また、月払・年払・一括払などの払込方法も選ぶ必要があります。一般にまとめて支払うほうが保険料は割安になる傾向にありますが、無理のない支払い方法を選ぶことが大切です。
免責金額とは、保険金支払いの対象となる損害額のうち、自己負担する金額です。
一般に免責を設定すると保険料が抑えられますが、その分少額の損害は自己負担になる可能性があります。
「どの程度なら家計から負担できるか」を目安に、保険料とのバランスで検討できるとよいでしょう。
地震による損害に備える場合は、火災保険とセットで地震保険を契約する必要があります。
地震保険は、地域の災害リスクをはじめ、住宅ローンの有無や、万一のときに生活再建できるだけの貯蓄があるかどうかといった点を踏まえて検討するとよいでしょう。
なお、地震保険を付帯した場合、地震保険料が「地震保険料控除(所得控除)」の対象となります。
火災保険料は、建物の構造や所在地、補償範囲、保険金額などさまざまな条件によって大きく変わります。
同じ「火災保険」でも契約内容によって保険料の水準は異なるため、見積りでは前提条件をそろえて比較することが大切です。
ここでは、火災保険料を左右する主な要素と、保険料を抑えられる割引制度について解説します。
火災保険料は、主に次の要素の組み合わせで決まります(考え方や区分は、保険会社や商品によって異なります)。
火災保険では、建物の構造別級に応じて保険料に差が生じるのが一般的です。
構造別級は、以下の3つに区分されています。
一般に耐火性能が高い区分ほど火災のリスクが抑えられることから、保険料が抑えられる傾向があります。
台風(風災)や雪災、水災など自然災害の頻度や被害の程度には地域差もあるため、所在地によって保険料に差が出ることがあります。
火災に加えて、風災・雪災・雹災・水災、水濡れ、盗難、破損・汚損などをどこまで付帯するかも保険料を左右する要素です。
建物・家財それぞれの金額設定により保険料が変動します。
免責を設定すると保険料が抑えられる一方、少額損害は自己負担になりやすくなります。
保険期間や払込方法によって、保険料の総額が変わります。一般に複数年契約や一括払は、総支払保険料が抑えられる傾向があります。
見積り比較では、保険料の金額だけでなく、補償範囲・保険金額・免責金額・保険期間などが同じ前提になっているかを確認するのがポイントです。
保険会社によっては、条件に応じて以下のような保険料の割引制度が用意されている場合があります。ここでは火災保険料の割引制度の一例を紹介します。
※割引制度の有無や名称、適用条件などは保険会社によって異なります。あくまで一例として参考にしてください。
最後に、火災保険に関するよくあるギモンをQ&A形式でお答えします。
Q1.もらい火でも補償される?
A.一般的には、もらい火(近隣からの延焼)で自宅が被害を受けた場合でも、自身の火災保険で補償の対象となります。火災の原因が自宅かどうかにかかわらず、契約で定められた補償内容に該当すれば保険金を請求することができます。
一方で、近隣が出火元の場合でも、相手側から十分な補償が得られるとは限りません。日本には「失火責任法」の考え方があり、重大な過失がない限り、出火元が損害賠償責任を負わないケースがあるためです。
こうした背景からも、「自宅の損害は自分の火災保険で備える」という考え方が基本になります。
Q2.持ち家(戸建て・マンション)で火災保険は必要?住宅ローン時はどうなる?
A.持ち家の場合、火災や風災などで建物に損害が出ると、再建費用の負担が大きくなりやすいため、火災保険を検討する方が多いです。戸建てだけでなく、分譲マンションでも、専有部分や家財の損害に備える意味で加入を検討します。
また住宅ローンを利用する場合は、金融機関が「火災保険への加入」を融資条件として求めることがあります。住宅ローンは住宅を担保に資金を借り入れる仕組みのため、住宅が大きな損害を受けると担保価値が下がり、金融機関にとっては貸付金回収のリスクが高まるからです。
借主にとっても、万一の際の修理費や再建費用を保険金でまかなえるようにしておく視点は重要です。十分な補償が受けられなければ「住宅ローンの返済」と「再建費用」の両方が必要になり、いわゆる二重ローン状態となる可能性も考えられるため、自分に合った火災保険の検討が必要となります。
Q3.途中解約はできる?解約返戻金の考え方は?
A.火災保険は、一般的に途中解約が可能です。解約時には未経過期間に応じて保険料の精算が行われ、契約形態によっては解約返戻金が発生することがあります。
解約返戻金の有無や計算方法は、保険期間や払込方法、商品によって異なるため、解約前に保険会社へ確認するとよいでしょう。
Q4.火災保険料は控除の対象?保険金に税金はかかる?
A.火災保険料そのものは、原則として所得控除の対象にはなりません。一方で、地震保険をあわせて契約している場合、地震保険料は「地震保険料控除」の対象となります。
火災保険の保険金については、一般的に住まいの損害の補てんとして受取る保険金は非課税です。
Q5.保険金を請求するときの注意点は?
A.被害に気づいたら、できるだけ早めに保険会社(または代理店)へ連絡しましょう。保険金の支払い対象となるかどうかは、事故の原因や被害状況の確認が必要になるためです。
また、被害状況の写真を残すことはもちろん、応急処置や修理をした場合は作業前後の写真に加えて、見積書や領収書も保管しておくことが大切です。
なお、原則として保険金請求の時効は3年とされています。時間が経つほど被害状況の確認や必要書類の準備が難しくなることもあるため、可能な限り早めに対応できるとよいでしょう。
火災保険は、火災だけでなく風災・水災・雪災、水濡れ、盗難といった損害に備えられる保険です。一方で、補償対象となる条件などは契約内容によって変わります。
居住形態や地域の災害リスクなど、自分の状況にあわせた補償を検討しましょう。
見積りをとる際は、補償範囲、保険金額、保険期間、免責金額の有無などを同じ条件で比較することが大切です。迷う場合は、保険会社や代理店に相談しながら進めると安心です。
承認番号:25-570(2029/2/8)