更新日:2026年3月31日
バイクに乗るときは、自賠責保険だけでなく、任意のバイク保険についても基本を理解しておくことが大切です。 本記事では、自賠責保険と任意保険の役割の違いから、対人・対物賠償や人身傷害・車両保険などの主な補償内容、よく使われる特約・ロードサービスのポイントまで整理しました。 あわせて、バイク事故のリスクや任意保険の加入率、保険料が決まるしくみ、代理店型と通販型の違いなどについても解説します。
バイクに関する保険は、「自賠責保険」と「任意保険」の大きく2つに分かれます。
まずはそれぞれの役割と、どのようなバイクが対象になるのかを確認していきましょう。
自賠責保険とは、バイクで公道を走る際に法律で加入が義務づけられている保険です。補償内容は事故で他人を死傷させた場合の対人賠償に限定されており、死亡・後遺障害・傷害に対して、あらかじめ定められた範囲内で最低限の補償が受けられるしくみになっています。
一方で、自賠責保険だけでは、次のような部分は十分にカバーできません。
これらの不足分を補うために利用されるのが、一般に「バイク保険」と呼ばれる任意保険です。
任意保険では、主に次のような補償を組み合わせて契約します。
自賠責保険は対人賠償の最低限の補償、任意のバイク保険は、自賠責保険だけでは賄えない補償を補う役割を担っています。
バイク保険(任意保険)の対象となるのは、一般的に総排気量が50ccを超えるバイクです。いわゆる原付バイク(51ccクラス)や、125cc以上のオートバイ・大型バイクなどの自家用二輪自動車が加入の対象となります。
近年は、新たな移動手段として普及している電動キックボードについても、特定小型原動機付自転車として登録されていれば加入できる商品があります。ただし、取り扱いの有無や条件は保険会社ごとに異なるため、事前に確認が必要です。
また、フードデリバリーなどの仕事用としてバイクを使う場合も任意保険への加入が推奨されますが、こちらも保険会社によって取り扱いが異なります。
バイク保険(任意保険)は、いくつかの補償を組み合わせて契約するのが一般的です。
ここでは、代表的な補償ごとに「どのような場面をカバーするのか」について見ていきましょう。
対人賠償保険は、バイク運転中の事故で、歩行者や他の運転者など「他人を死傷させてしまった場合」の損害賠償を補償するものです。治療費だけでなく、慰謝料や休業損害なども含め、法律上の損害賠償責任を負った範囲が対象となります。
対物賠償保険は、他人の車、建物、ガードレール、電柱、店舗の設備など、「物」に対する損害を補償するものです。修理費用や休業損害などが含まれるケースもあります。
交通事故では、1件あたりの賠償額が高額になることもあるため、対人・対物ともに保険金額を「無制限」に設定する契約が多く見られます。バイク保険の中心となる補償であり、ほとんどの契約で基本的な柱と位置づけられています。
人身傷害保険は、契約車両に乗っている人が事故でケガをした場合に、過失割合にかかわらず、実際にかかった治療費や休業損害などを「実損害額」に応じて補償する保険です。自分に過失がある事故や、相手が無保険の場合でも、あらかじめ定めた保険金額の範囲で支払いを受けられるしくみです。
これに対し、搭乗者傷害保険は、死亡や後遺障害、一定以上の入院・通院などの条件を満たしたときに、あらかじめ決められた保険金額が「定額」で支払われる保険です。実際の治療費とは関係なく、約款に定める支払事由に該当したかどうかで支払い額が決まります。
両者は性質が異なるため、どちらか一方のみを付ける場合もあれば、併用して契約する場合もあります。人身傷害保険で実際の損害をカバーしつつ、搭乗者傷害保険を上乗せ的に活用することで、治療中の雑費や休業中の負担をある程度カバーしやすくなる、という考え方もあります。
無保険車傷害保険は、事故の相手方が任意保険に加入していない、あるいは十分な補償額を持っていない場合に備える補償です。
主な対象となるのは、重度の後遺障害や死亡事故など、重大な人身事故です。本来であれば相手側が負担すべき損害賠償額について、相手に支払い能力がない場合や、加入している保険の金額では足りない場合に、契約者側の保険から一定の範囲で補償を受けられます。
自損事故傷害保険は、ガードレールへの接触や単独での転倒など、主に相手のいない事故でケガをした場合に備える補償です。
自分の操作ミスなどで単独事故を起こした場合、相手方がいないため対人賠償保険は使えませんが、自損事故傷害保険を付けておくと、死亡・後遺障害や一定の入院・通院などに対して、あらかじめ定められた保険金を受取れるしくみになっています。
特約の取り扱いは保険会社によって異なりますが、人身傷害保険を付帯しない場合に自損事故傷害保険が自動付帯となる場合が多くあります。
車両保険は、自身のバイク本体が損害を受けた場合の修理費や買い替え費用などを補償する目的の保険です。
対象となる事故の範囲は商品によって異なりますが、一般的には次のようなケースが含まれることがあります。
一方で、盗難や自然災害、パーツのみの盗難などは、「一般条件」「限定条件」といった補償条件の違いにより、対象外となる場合もあります。契約前に、どのような事故が補償の対象になるかを確認しておくことが大切です。
車両保険を付帯すると、そのぶん保険料が高くなるため、付帯の可否については下記のような条件を考慮して判断するとよいでしょう。
保険料とのバランスを見ながら、必要性を検討することが大切です。
バイク保険では、基本となる補償に加えて、いくつかの特約やサービスを組み合わせることができます。
ここでは、代表的な特約やサービスの概要と、検討時に押さえておきたいポイントを解説します。
弁護士費用特約は、もらい事故などで相手側との示談交渉が必要になった場合に、弁護士への相談費用や、交渉・訴訟にかかる費用を補償する特約です。
事故の状況によっては、相手方や相手の保険会社と話し合いが難航することもありますが、この特約を付帯しておくと、弁護士に相談しやすくなる点が特徴です。相手が任意保険に入っていない、いわゆる「無保険車」とのトラブルに備える意味合いもあります。
なお、すでに自動車保険などに弁護士費用特約を付帯している場合、補償が重複することがあります。契約全体でどの特約がどの範囲をカバーしているのか、一度整理しておくとよいでしょう。
対物修理差額費用特約は、対物賠償保険でカバーしきれない「相手車両の時価額と修理費の差額」を補償することを目的とした特約です。(名称や補償内容は保険会社によって異なります)
たとえば、年式の古い高級車などと事故を起こした場合、相手の車の「時価額」を基準にすると、修理費用が全額カバーできないことがあります。相手が修理を希望している場合、その差額についてトラブルになる可能性もあるでしょう。
この特約を付けておくと、一定の条件のもとでその差額部分を補償できる場合があり、対物賠償保険だけでは対応しにくいケースへの備えとして検討されることがあります。
バイク保険には、契約内容によってロードサービスが付帯している場合があります。
主なサービス内容は、次のとおりです。
検討する際は、次のポイントを確認しておくと安心です。
バイクは、パンクや故障などのトラブルが起こりやすく、押して移動するのが難しい場面もあります。バイク特有のトラブルへの対応内容も、あわせて確認しておくとよいでしょう。
上記以外にも保険会社や商品によって、さまざまな特約が用意されています。
例としては、次のようなものがあります。
日常生活で他人にケガをさせたり、他人の物を壊してしまった場合の賠償責任を補償する特約です。自動車保険や火災保険に付帯されるケースも多いため、重複には注意が必要です。
他車運転危険補償特約(他車運転特約)は、契約車以外のバイク(他人から一時的に借りたバイクなど)を運転中に事故を起こした場合に、一定の条件のもとで補償を受けられる特約です。
たとえば、友人や親戚のバイクを運転する機会がある場合は、検討したい補償です。
なお、対象や補償範囲は商品によって異なり、借りたバイク自体の損害(修理費など)は補償対象外となる場合があります。
ここでは「そもそもなぜバイク保険が必要なのか?」について、バイクにおける事故リスクやバイク保険の加入率、自賠責保険の補償範囲という3つの視点から解説していきます。
バイク事故で想定されるリスクは以下のとおりです。
バイクは車体がむき出しで、自動車のようなボディやシートベルトに守られていません。そのため、事故が起きた際のダメージが大きくなりやすいといわれています。
警察庁の統計によると、2024年中の交通事故死者2,663人のうち、二輪車(原付を含む)乗車中の死者は487人で、全体の約18%(約2割弱)を占めています。
参考:警察庁交通局|令和6年における交通事故 の発生状況について
損害保険料率算出機構の「2024年度 自動車保険の概況」によると、自動二輪(原付を除く)の任意保険加入率は、対人賠償で47.0%、対物賠償で47.9%にとどまります(2024年3月末時点)。
一方で、自家用乗用車の任意保険(共済含む)加入率は対人・対物ともに83.2%となっており、自動車と比べるとバイクのほうが任意保険への加入率が低い状況です。
この数字からも分かるように、バイク事故では相手が任意保険に入っていない可能性も想定しておく必要があります。相手側の補償だけに頼るのではなく、自分のバイク保険の中で、無保険車との事故や高額な人身事故への補償に備えることが大切です。
法律によって加入が義務付けられている自賠責保険は、被害者救済を目的とした「最低限の人身補償」に限定された制度です。補償範囲や支払限度額は法律で決められており、被害者1名あたりの上限額は次のとおりです。
傷害(ケガ)の場合 | 最高120万円まで |
|---|---|
後遺障害の場合 | 等級に応じて75万円〜4,000万円まで |
死亡の場合 | 最高3,000万円まで |
また、自賠責保険が対象とするのは「相手方に対するケガや死亡・後遺障害のみ」であり、「相手の車や建物などの物損」や「自分のケガやバイクの修理費」といった部分は、そもそも補償の対象外です。
長期の入院・通院となれば、治療費や休業損害だけで自賠責保険の上限額を超えてしまうことも考えられますし、物損事故になると、そもそも自賠責保険では一切補償を受けることはできません。
このような「自賠責だけでは足りない部分」を補う手段として、任意のバイク保険への加入が推奨されます。
バイク保険の保険料は、「どんなバイクを」「どのように使うか」といった条件や、これまでの事故歴などをもとに決まります。
ここでは、保険料に影響する主な要素と、ノンフリート等級制度の考え方を解説します。
バイク保険の保険料は、次のようなポイントによって変動します。細かな条件や反映の仕方は保険会社や商品によって異なりますが、方向性として押さえておくとイメージしやすくなります。
一般に、排気量が大きいバイクや、スポーツタイプなど走行性能の高い車種は、保険料が高めに設定される傾向があります。
契約時には「主な使用目的」を申告します。レジャー中心の利用に比べて、通勤・通学や業務使用(フードデリバリーなど)のほうが走行距離や使用頻度が増えやすく、事故リスクも高いと見なされるため、保険料が高くなる場合があります。
「記名被保険者本人のみ」「家族限定」「限定なし」など、運転者の範囲を限定することで、保険料が安くなる傾向があります。
また、「全年齢補償」「21歳以上補償」「26歳以上補償」など、年齢条件を設定できる商品では、補償対象となる年齢が高くなるほど保険料が下がるのが一般的です。
商品によっては、年間の走行距離や、記名被保険者の免許証の色(ゴールド・ブルーなど)が保険料に反映される場合があります。
走行距離が短いほど、また一定の条件のもとで無事故期間が長くゴールド免許であるほど、保険料が抑えられる傾向があります。
これらの要素は単独で決まるものではなく、組み合わせて評価されるものです。保険料を下げたいからといって、実態と異なる使用目的や運転者範囲を選ぶと、いざというときに十分な補償が受けられない可能性もあるため、注意が必要です。
バイク保険では、多くの商品でノンフリート等級制度が採用されています。
新たに加入する場合は一般的に「6等級」から始まり、1年間無事故であれば翌年は1等級上がって割引率が大きくなります。反対になんらかの形で保険金の支払いがあると等級が下がり、さらに一定期間は「事故有」の割増率が適用されます(事故有係数適用期間)。
等級と事故有係数適用期間の有無も、保険料を左右する要素です。
バイク保険は補償の種類も特約も多く、「どれを選べばいいか分からない」と感じる人は多いかもしれません。
ここでは、バイク保険を選ぶときに確認しておきたいポイントをまとめました。
まずは、どのようなチャネルで契約するかを考えます。大きく「代理店型」と「通販型(ダイレクト型)」に分けられます。
それぞれの特徴は、次のとおりです。
代理店型の特徴
通販型(ダイレクト型)の特徴
保険料が割高になっても相談しながら自分にあった補償を決めていきたいのか、自分で比較・検討して保険料を抑えたいのかというように、自分のスタイルに合わせて選ぶことが大切です。
次に、具体的な補償内容を検討します。ポイントは「保険料だけでなく、補償の中身もあわせて見る」ことです。
たとえば「対人・対物賠償」は、万が一の高額賠償に備えるためにも保険金額を十分な水準にしておくことが大切です。近年は対人・対物ともに「無制限」で契約する例が多く見られます。
また、車両保険を付けるかどうかも保険料を左右するカギとなります。バイク本体の価格や年式、日常の利用頻度、自分で負担できる修理費用の範囲などを踏まえ、車両保険が必要かどうかを考えるとよいでしょう。
複数の保険会社から見積もりを取り、同じような補償内容で保険料を比較すると、バランスの違いが見えやすくなります。
バイクは故障やトラブル時にその場で動かすのが難しいことも多く、ロードサービスの内容も重要な比較ポイントになります。
確認しておきたい主な項目は次のとおりです。
保険会社によってロードサービスの内容は異なるので、どこまで補償対象なのか、自分にとってその補償が必要なのかも含めて検討するとよいでしょう。
原付(主に125cc以下)だけを使っている場合は、バイク保険とは別に、自動車保険に付帯する「ファミリーバイク特約」を検討できるケースがあります。
ファミリーバイク特約とは、自動車保険に付帯できる特約の一つで、契約者や家族が所有・使用する原付バイクの対人・対物賠償などを、まとめて補償するしくみです。
保険料は、単独でバイク保険に加入する場合と比べて抑えられることが多い一方で、バイク本体の損害(車両保険)やロードサービスなどは、バイク保険と比べると選択肢が限られる場合もあります。
バイク保険との違いや、補償の重複などを確認したうえで検討することが大切です。
バイク保険は、自賠責保険だけではカバーしきれない高額な賠償や、自分や同乗者のケガ、バイク本体の損害に備えるための任意保険です。
排気量や使用目的、運転者条件、等級制度など、保険料に影響する要素を理解したうえで、対人・対物を中心に必要な補償と特約、ロードサービスの内容を比較検討することが大切になります。
原付のみ利用する場合は、ファミリーバイク特約という選択肢も視野に入れ、自分の利用スタイルに合った備え方を検討していけるとよいでしょう。
承認番号:25-569(2029/2/8)