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【FP監修】自賠責保険料が2年ぶりの値下げ。新設される賦課金とは?

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自動車を購入すると必ず加入する「自賠責保険」。

実はこの自賠責保険の保険料は、金融庁において、毎年議論されています。

今回新たな基準料率が適用され、2年ぶりに値下げとなることが決まりました。

しかし「被害者支援や事故防止を目的とした被害者保護増進等事業に充当するための賦課金」が新たに設置されることとなり、この部分に関しては保険料が値上げされることになります。

「自賠責保険」がどのような保険なのか改めて確認しながら、自賠責保険料の値下げ、新たな賦課金についてお話させていただきます。

自賠責保険とは?

自賠責保険とは、「自動車損害賠償責任保険」のことです。

交通事故の被害者や遺族を救済するため、法律に基づいてバイクなどを含むすべての自動車に加入が義務付けられています。

自賠責保険の特徴

自賠責保険には6つの特徴があります。

  1. オートバイ、原動機付自転車、電動キックボードを含むすべての自動車に加入の義務があり、自賠責保険に入っていなければ運転することはできません(自動車損害賠償保障法)。自賠責保険に入っていなければ、車検を受けることもできません。
  2. 人身事故による対人損害賠償のみ対象となります。よって、物損事故は補償の対象外となります。
  3. 被害者1人に対して支払限度額が定められています。1つの事故で被害者が複数いる場合でも、被害者1人に対しての支払限度額は変わりません。
  4. 被害者は、加害者が加入している損害保険会社に直接、保険金を請求することができます。
  5. 仮渡金制度があります。被害者は、保険金額が確定し支払われる前に受取り、治療費など一時的な出費にあてることができます。
  6. 交通事故が発生した理由について、被害者に重大な過失があった場合に保険金が減額されます。

被害者1人に対しての支払限度額

被害者1人に対しての支払限度額は以下になります。

  • 死亡による損害:最高3,000万円
  • 後遺障害による損害:最高4,000〜75万円(後遺障害等級による)
  • 障害による損害:最高120万円

自賠責保険に未加入の場合

自賠責保険は必ず加入の必要がある強制保険ですので、全ての自動車は、自賠責保険に加入することが義務付けられています。

自賠責保険に加入せずに自動車を運転した場合、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金・違反点数6点(免許停止処分)の処分を受けます。

自賠責保険と任意保険

自動車保険には自賠責保険の他に任意で加入する保険もあります。

先にお話しした通り、自賠責保険はあくまでも交通事故の被害者を救済するためのものです。

任意保険は、対人賠償金のうち自賠責保険・共済の支払限度額を超えた部分や、物損事故や自身のケガや同乗者のケガ等の自賠責保険の対象とならない補償に備えてドライバーが任意で加入する保険です。

保険料には保険会社の利益が含まれ、契約者の属性や事故歴等によっても異なります。

また、保険料や支払限度額、支払い対象などは、保険会社の提供する商品ごとに異なります。

値下げの開始時期は?

自賠責保険料は、契約者の属性や事故歴等に関わらず、車種(自家用乗用車、軽自動車、原動機付自転車など)ごとに一律に設定されています。

保険会社の利益を含まない最低限の保険料とする「ノーロス・ノープロフィットの原則」に従って、損失も利益も出さないよう収支を調整されており、どの保険会社と契約しても一律となっています。

保険料の金額は、保険料の収入と保険金の支払い額のバランスの検証結果に基づき、金融庁において毎年審議されています。

今回の自賠責保険料の値下げは2023年4月以降の契約から適用されることが正式に決定されています。2022年度は前年度から据え置きとなっており、2021年4月に値下げされて以降2年ぶりの値下げとなりました。

車種や保健期間など契約条件により異なりますが、平均で11.4%の引き下げが行われます。

値下げの背景は?

では、なぜ自賠責保険料が値下げされることになったのでしょうか。

自賠責保険は利益も損失も出さないように保険料が調整されているため、事故が減って保険金の支払額が減少したのであれば、それを反映して保険料も下がることになります。

今回の値下げは、自動ブレーキなどの自動車の安全性能の向上や普及、またコロナ禍により人々の行動が抑制されたことなど生活様式の変化によって交通事故の数が減少した結果、保険金支払額が減少傾向にあるため、それを反映したのです。

交通事故件数は平成16年をピークに減少しており、平成以降の交通事故死者数は平成4年をピークに減少しています。

新たに設置される「被害者保護増進等事業に充当するための賦課金」とは?

現在、事故件数や死者数は減少傾向ではありますが、交通事故の被害による重度後遺障害者数は横ばいとなっており、継続的な支援が求められています。

既に設置されている賦課金は、おもに自賠責保険に加入していない無保険車による事故や、ひき逃げの被害者の死亡・ケガの補償など、保障事業の財源に充てられています。

現在自家用車1台あたり年間16円の負担によってまかなっています。

この保障事業の財源となる賦課金は、2023年4月からは自家用車1台あたり年間4円に引き下げられます。

今回新たに設置される「被害者保護増進等事業に充当するための賦課金」は、交通事故で重度後遺障害を負った事故被害者のための専門病院の運営や、被害者の介護やリハビリの支援の充実、安全な自動車の導入支援など事故防止対策のために活用されます。

新たに設置される賦課金の額は、自家用乗用車・軽自動車などは年間1台あたり125円の負担とし、営業用のバス、タクシー、トラックなどは150円、原動機付自転車などは100円の負担となっています。

今までは、自賠責保険料を原資とした運用益を活用することで被害者支援・事故防止対策を実施していましたが、見込みより金利が大幅に低下したことにより、運用益は減少し事業費をまかなっていくことが難しくなってきています。

しかし、被害者や遺族は日々新たに発生し続けるため、長期的な支援の継続や充実、施設の維持のために、新たな対策として「被害者保護増進等事業に充当するための賦課金」が新たに設置されました。

改定前後の保険料はいくら?

既存の保障事業の財源となる賦課金と新たに設置される被害者保護増進等事業に充当するための賦課金を合わせると、自家用乗用車では年間の負担額が1台につき16円から129円となるため、2023年4月より値上がりとなっています。

しかし、交通事故数の減少による保険金支払額減少など、値下げの要素の方が大きく、全体でみると値下げという結果になっています。

今回の値下げにより、自賠責保険料はいくら変わるのでしょうか?

主な車種における具体的な金額は以下のとおりです。

(離島および沖縄県を除く地域の場合)

1年契約の場合の自賠責保険料

車種 2022年度 2023年度 差額
タクシー(東京等) 93,120円 78,100円 ▲15,020円
バス(営業用) 37,830円 31,920円 ▲5,910円
トラック(営業用・2t超) 28,380円 24,100円 ▲4,280円
自家用乗用車 12,700円 11,500円 ▲1,200円
軽自動車(検査対象) 12,550円 11,440円 ▲1,110円
原動機付自転車 7,070円 6,910円 ▲160円

2年契約の場合の自賠責保険料

車種 2022年度 2023年度 差額
トラック(営業用・2t超) 51,070円 42,610円 ▲8,460円
自家用乗用車 20,010円 17,650円 ▲2,360円
軽自動車(検査対象) 19,730円 17,540円 ▲2,190円
原動機付自転車 8,850円 8,560円 ▲290円

まとめ

今回、被害者支援及び事故防止のための賦課金が新設されることとなりましたが、交通事故や保険金の支払額の減少傾向などによる値下げが大きかったため、2023年4月以降の契約より自賠責保険料が値下げされることとなりました。

自賠責保険料は、毎年1月に金融庁において審議されます。前年度のように据え置きされることもありますが、毎年保険料が改定される可能性もあります。

毎年といわずとも、車検を受ける年など一度保険料の改定がないかチェックしてみてはいかがでしょうか?

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