【FP監修】2024年知っておきたいお金のこと
- お 金
2024年1月に新NISAが開始され、7月には新紙幣発行、定額減税が実施されるなど、2024年もお金にまつわるニュースや制度の変更点が多くあります。住宅ローン控除(減税)など、毎年のように控除額が変わる制度もあるため、お金に関する情報を知っておくことは大切です。
この記事では、2024年の知っておきたいお金の情報をご紹介していきます。
1.新NISAがスタート
従来の投資における税制優遇制度であるNISAが見直され、2024年1月から新NISA制度がはじまりました。
NISAは、少額から投資を行う人のためにスタートした「少額投資非課税制度」です。投資で得られた売却益や配当金などの利益には、通常20.315%(復興所得税含む)の税金が課税されますが、NISA口座を活用することで、一定の利益が非課税になる制度です。
2024年1月スタートの新NISAでは、非課税保有期間の無期限化や非課税保有上限額の拡大など、これまでのNISAと比べてより利用しやすい制度へと変更されました。
つみたて投資枠 | 成長投資枠 | ||
---|---|---|---|
非課税保有期間 | 無制限 | ||
制度(口座開設期間) | 恒久化 | ||
年間投資枠 | 120万円 | 240万円 | |
非課税保有限度額 | 1,800万円 | ||
(うち成長投資枠1,200万円) | |||
投資対象商品 | 長期の積立・分散投資に 適した一定の投資信託(※) |
上場株式・投資信託等 | |
対象年齢 | 18歳以上 |
※金融庁の基準を満たした投資信託に限定
これまでのNISAから大きく変わったポイントは次の6つです。
- ・非課税保有期間が無期限化
- ・制度(口座解説期間」が恒久化
- ・つみたて投資枠と成長投資枠の併用が可能
- ・年間投資枠が拡大(最大で年間360万円に)
- ・非課税保有限度額(総枠)が新設(最大1,800万円)
- ・非課税保有限度額(総枠)の再利用が可能
これまでのNISAと新NISAでは非課税枠が異なります。そのため、これまでのNISA口座で運用していた商品を新NISA口座へは移せません。また、従来のNISA口座と同様に、損益通算や損失繰越ができない点にも注意が必要です。
制度のメリットやデメリットを理解し、新NISA制度をうまく活用していきましょう。
- 参考 :
2.新紙幣発行
2024年7月3日には新紙幣が発行されます。デザインの改刷は、2004年以来20年ぶり。紙幣を改刷する大きな理由は、紙幣の偽造防止です。
今回の変更では、紙幣の肖像画や図柄の変更のほか、新たな偽造防止技術として「高精細すき入れ」と「3Dホログラム」、ユニバーサルデザインなどが採用されました。
今回変更があるのは、一万円、五千円、千円の3種類のお札で、変更点は以下のとおりです。
券種 | 新紙幣 | 旧紙幣 | ||
---|---|---|---|---|
表(肖像) | 裏(図柄) | 表(肖像) | 裏(図柄) | |
一万円 | 渋沢 栄一 | 東京駅 (丸の内駅舎) |
福沢 諭吉 | 鳳凰像 |
五千円 | 津田 梅子 | フジ(藤) | 樋口 一葉 | 燕子花図 |
千円 | 北里 柴三郎 | 富嶽三十六景 (神奈川沖浪裏) |
野口 英世 | 富士山と桜 |
なお、新紙幣発行後も、現在使用している紙幣は今までどおり使うことができます。
- 参考 :
3.定額減税
2024年6月から、納税者を対象とした「定額減税」が実施されます。定額減税とは、納税者本人とその扶養家族1人につき、所得税3万円、住民税1万円の合計4万円が税金から控除される制度です。
ただし、所得制限があり、所得税にかかる合計所得金額が1,805万円を超える人(給与所得のみの場合は2,000万円を超える人)は対象になりません。
定額減税の控除方法は、給与所得者、事業所得者、年金所得者でそれぞれ異なります。
所得税 | 住民税 | |
---|---|---|
給与所得者 | ・2024年6月給与等の源泉徴収分から控除 ・6月で控除しきれない場合は7月分以降から順次控除 |
・2024年6月分の徴収はなし ・2024年7月〜2025年5月は以下の計算式で毎月徴収 (個人住民税額-1万円)×1/11 |
事業所得者 | ・2024年第一期予定納税で控除 ・第一期で控除しきれない場合 ・予定納税がない場合は確定申告時に控除 |
・2024年6月徴収分から控除 ・6月で控除しきれない場合は8月分以降から順次控除額 |
年金所得者 | ・2024年6月公的年金等の源泉徴収分から控除 ・6月で控除しきれない場合は8月分以降順次控除 |
・2024年10月徴収分から控除 ・10月で控除しきれない場合は12月分以降順次控除 |
また、年収が少ない、扶養家族が多いなどで減税前の税額が少なく、所得税と住民税の減税額が4万円に満たない世帯は、定額減税しきれないと見込まれるおおむねの額が1万円単位で給付されます。
一方、所得が少ないなどの理由から所得税や住民税を納めていない人は、定額減税の対象にはなりませんが、代わりに給付金が支給されることになっています。具体的な支給額は以下のとおりです。
住民税非課税世帯
1世帯あたり7万円。2023年にすでに3万円の支給があったため、今回の給付金と合わせて10万円になります。
所得税非課税世帯で住民税の均等割のみ支払う世帯
1世帯あたり10万円。
さらに、これらの世帯で18歳以下の子を扶養している場合は、1人あたり5万円の給付金が追加で支給されます。
4.住宅ローン控除(減税)の変更点
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、住宅ローンを借りて住宅を購入した人が利用できる税額軽減の制度です。毎年の住宅ローン残高の0.7%を最大13年間、所得税から控除できます。また、所得税から控除しきれない分は、翌年の住民税から差し引くことができます。
2024年の住宅ローン控除は以下の表のとおりです。
住宅種類 | 2024年入居の借入限度額 | 2025年入居の借入限度額 | 控除率 | 控除期間 | ||
---|---|---|---|---|---|---|
子育て世帯 | その他の世帯 | |||||
新築住宅・ 買取再販 |
長期優良・脱炭素住宅 | 5,000万円 | 4,500万円 | 4,500万円 | 0.7% | 13年 |
ZEH水準省エネ住宅 | 4,500万円 | 3,500万円 | 3,500万円 | |||
省エネ基準適合住宅 | 4,000万円 | 3,000万円 | 3,000万円 | |||
その他の住宅 | 0円(※) | 10年 | ||||
新築住宅・ 買取再販 |
長期優良・脱炭素住宅 | 3,000万円 | 0.7% | 10年 | ||
ZEH水準省エネ住宅 | ||||||
省エネ基準適合住宅 | ||||||
その他の住宅 | 2,000万円 |
(※)2023年までに新築の建築確認をした場合は2,000万円
2024年の改正では、借り入れ限度額の引き下げや省エネ基準等を満たさない新築・買取再販住宅が住宅ローン控除の対象外になるなど、大きな変更がありました。一方、一定の要件を満たす子育て世帯や若者世帯は、借り入れ限度額が高く設定されるなどの優遇があります。2024年の税制改正のポイントは以下のとおりです。
省エネ基準を満たさない新築住宅は控除対象外
新築住宅および買取再販住宅で、「長期優良・脱炭素住宅」「ZEH水準省エネ住宅」「省エネ基準適合住宅」に該当しない「その他の住宅」を2024年以降に建てる場合は、住宅ローン控除(減税)がないため注意が必要です。
子育て世帯・若者夫婦世帯に対する控除が拡充
対象となるのは「19歳未満の子を有する世帯」または「夫婦のいずれかが40歳未満の世帯」で、その他の世帯よりも借入限度額が高く設定されます。
住宅購入は人生の中でも大きな出費になります。マイホームの購入を検討している方は、最新の住宅ローン控除の内容を把握し、計画的に進めていきましょう。
- 参考 :
5.生前贈与の加算ルールが3年から7年に変更
贈与税と相続税について、2024年1月からルールが変わっています。
贈与には、暦年課税と相続時精算課税があります。暦年課税では、年110万円の基礎控除があり基礎控除内の贈与であれば贈与税が発生しません。計画的に贈与を行うことによって、相続税の軽減対策として利用できます。
ただし、亡くなる前の一定期間の贈与は相続税に加算するというルールがあります。これを生前贈与加算といいます。今までは、その期間が相続開始前の3年間でしたが、今回の改正で7年以内に延長されました。延長した4年間の贈与のうち、100万円までは相続財産に加算されません。
また、相続時精算課税には年110万円の基礎控除が新たに設けられ、こちらはより利用しやすい制度となりました。
まとめ
いかがでしたか。この記事では、2024年に新たにはじまった制度や変更があったルールを紹介しました。
毎年のように変わるお金のルール。2024年も住宅ローン減税や贈与税のルール変更など、大きな改正がありました。私たちの生活に直接関わりのあるものだからこそ、その制度の背景や変更点をしっかりと理解しておくことが大切です。今後もお金に関するニュースに注目していきましょう。
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