【FP監修】鬼は外!福は内!節分・掛け声の由来や地域による掛け声の違いを解説
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「鬼は外!福は内!」という掛け声は、節分の豆まきでよく聞かれる言葉です。しかし、その由来や意味を正確に知っている人は意外と少ないかもしれません。
この掛け声には、古くから日本人が大切にしてきた「邪気を払い、福を招く」という願いが込められています。
この記事では、「福は内・鬼は外」の由来や言葉の意味、地域による掛け声の違い、そして現代の節分行事の楽しみ方までをやさしく解説します。
ご家庭での豆まきやお子さんへの伝え方の参考にもなる内容ですので、ぜひ最後まで読んでみてください。
「福は内・鬼は外」とは?節分の意味と由来
節分は「季節を分ける日」という意味を持ち、立春・立夏・立秋・立冬の前日を指します。その中でも立春の前日は旧暦で一年の始まりとされ、特に大切にされてきました。冬の寒さが終わり、新しい季節を迎える節目に、邪気を払う行事が行われるようになりました。
ここでは、節分という行事がどのように生まれ、なぜ「福は内・鬼は外」という掛け声が使われるようになったのかを解説します。
節分が生まれた背景と行事の目的
節分の起源は、中国から伝わった「追儺(ついな)」という厄払いの儀式にあるとされています。奈良時代に日本に伝わり、宮中で行われる国家的行事として広まりました。季節の変わり目には、体調を崩したり災いが起きたりしやすいと考えられており、それを防ぐために悪いものを追い払う行事が行われたのです。
やがてこの風習は民間にも広がり、人々の暮らしに溶け込むようになりました。豆をまいたり、家の入口で掛け声をかけたりすることで、「家族を守る」「福を招く」という祈りを形にしていったのです。節分は、単なる年中行事ではなく、家族の無病息災や家庭円満を願う日本人の心が息づく風習といえます。
「福は内・鬼は外」の言葉に込められた意味
「鬼は外・福は内」という言葉には、悪い気を外へ追い出し、幸福を家の中に招き入れるという願いが込められています。鬼は古くから「災い」「病気」「人の心の弱さ」を象徴する存在として描かれてきました。一方の「福」は、家族の健康や五穀豊穣、商売繁盛など、豊かで平穏な日々を意味します。
豆をまく行為にも深い意味があります。「魔(ま)を滅(めっ)する」という語呂合わせから、豆をまくことで悪い気を払うとされているのです。さらに、豆を食べることで体の中の邪気を取り除き、一年の健康を祈る意味もあります。豆まきは、外だけでなく自分自身の中にある“鬼”を追い出し、心を清める象徴でもあります。
節分が2月3日になった理由
もともと節分の日付は立春の前日であり固定されておらず、太陽の動きをもとに決められていました。この立春が100年以上の間2月4日にあたることが多く続いたため、その前日である2月3日が節分と認識されるようになったのです。暦のずれによって変動することもあり、2021年・2025年は2月3日ではなく2月2日が節分でした。
この変化は、地球の公転周期のわずかな誤差によるもので、自然のリズムに寄り添いながら暮らしてきた日本人らしい文化の表れともいえます。暦や季節の移ろいを大切にし、自然の流れと共に生きてきた日本の感性が、今も節分という形で受け継がれているのです。
「鬼は外!福は内!」の掛け声の由来
節分でおなじみの「鬼は外!福は内!」という掛け声は、単なる掛け声ではなく、日本人が古くから大切にしてきた信仰や願いを表す言葉です。
この言葉の背景には、平安時代に始まった厄払いの儀式や、鬼という存在に対する独特の考え方が深く関係しています。ここからは、その由来と意味を丁寧に見ていきましょう。
平安時代の追儺(ついな)に見る起源
「鬼は外!福は内!」の原型は、平安時代に宮中で行われていた「追儺(ついな)」という儀式にあります。追儺は、中国から伝わった厄除け行事をもとにしたもので、弓矢や松明を使って悪鬼を追い払うものでした。当時は「鬼やらい」とも呼ばれ、国家安泰や五穀豊穣を祈る重要な行事として位置づけられていました。
この儀式では、鬼の面をかぶった役人を追い払うことで疫病や不幸を遠ざけ、人々の健康を願いました。その考え方が庶民に広まり、より身近で実践的な形へと変化していったのが現在の豆まきです。弓矢から豆へと変化した背景には、「手軽に行えて誰もが参加できる祈りの形にしたい」という人々の思いがあったといわれています。
なぜ「鬼」を追い払い「福」を招くのか
日本では古くから、鬼は単なる怪物ではなく、「目に見えない不安」や「心の弱さ」の象徴として描かれてきました。怒り、嫉妬、怠けといった人の内に潜む悪い感情を鬼にたとえ、それを外に追い出すことで心を整える意味があります。
一方、「福を内に招く」という言葉には、家族の幸福や繁栄、健康への願いが込められています。鬼を退け、福を呼び込むこの掛け声は、外的な魔除けだけでなく、内面の心を清める祈りでもあるのです。
つまり、節分の掛け声は「家を守る儀式」であると同時に、「自分の心を整える行い」として受け継がれてきた文化的なメッセージを持っています。
節分の掛け声が全国に広まった歴史
「鬼は外・福は内」という掛け声が全国に広まったのは江戸時代以降といわれています。庶民の間で豆まきが広く行われるようになり、寺社では節分祭が催されるようになりました。
特に江戸では、商家が商売繁盛を祈願して盛大に豆まきを行い、その光景が評判を呼びました。やがて地域ごとに独自の掛け声やまき方が生まれ、家族行事として定着していったのです。
現在では、神社や寺院で有名人が豆をまく「豆まき式」も恒例となり、節分の象徴的な風景になりました。こうした広がりを通して、「鬼は外・福は内」は単なる掛け声ではなく、人々の幸福を願う“新しい年の祈り”として定着していったといえます。
地域によって異なる掛け声のバリエーション
節分の掛け声といえば「鬼は外・福は内」が一般的ですが、実は全国で共通しているわけではありません。地域ごとに異なる言い回しや風習が残っており、その土地の信仰や歴史を映し出しています。
ここでは、地域別の特徴や珍しい掛け声、そして方角や家の作りに合わせた豆まきの違いを紹介します。
関西・関東・東北など地域別の特徴
関西では「福は内・鬼は外」と順番を入れ替える地域が多く、先に“福を呼び込む”ことを重視する傾向があります。京都や奈良では神社仏閣での節分祭が盛んで、掛け声よりも厄除けの祈祷を中心とした静かな儀式が多いのも特徴です。
一方、関東では「鬼は外」を強調する傾向があり、大きな声で外に向かって豆を投げる家庭が多く見られます。これは、江戸時代に商家が商売繁盛を願って「鬼門払い」として行ったことに由来するといわれています。
東北では、寒さの厳しい冬を乗り越える願いを込めて行う地域が多く、豆まきのあとに「火祭り」や「お焚き上げ」が行われることもあります。地域ごとに掛け声の強弱や順序は違っても、「福を呼び、厄を払う」という思いは共通しているのです。
「鬼も内」と唱える地域も?独自の風習を紹介
全国的には「鬼は外」が定番ですが、奈良県や福島県の一部では「鬼も内」と唱える地域もあります。これは鬼を単なる悪とみなさず、心を入れ替えた守護神として迎え入れる考え方に基づいています。
奈良の元興寺では「鬼は外」とは言わず、「鬼も内、福も内」と唱える独特の儀式が行われています。この寺では、仏教の教えにより“悪”そのものを排除するのではなく、受け入れて浄化するという思想が重んじられています。
また、秋田県ではなまはげ行事のように鬼を「家を見守る存在」として扱う地域もあり、鬼を追い出すのではなく共に暮らすという考え方も根付いています。このように、鬼を敵ではなく共存の象徴とする風習は、古来の多神教的な日本文化を今に伝えているといえます。
方角や家の構造による違いもある?
節分では、豆をまく方向や場所にも地域性が見られます。多くの家庭では玄関や窓など外とつながる場所に向かって豆をまきますが、鬼門(北東)と裏鬼門(南西)を特に意識して行う地域もあります。鬼門は不吉とされる方角で、そこから悪い気が入ると信じられてきたためです。
古い家屋では、鬼門側にヒイラギや柊鰯(ひいらぎいわし)を飾る風習も残っています。これは鬼の苦手な匂いやトゲで邪気を防ぐという意味があり、豆まきと併せて行うことで厄除けの力が強まるとされています。
現代の住宅では間取りや構造が異なるため、方角を厳密に意識するよりも、家族で協力して「外に鬼を出し、内に福を招く」という気持ちを持つことが大切です。形式よりも心を込めて行うことが、節分の本質につながります。
節分の豆まきに込められた意味と作法
豆まきは、節分の中でも最も知られた行事です。しかし、なぜ豆をまくのか、どのように行うのが良いのかを正確に知っている人は意外と少ないかもしれません。
ここでは、豆まきの由来や豆の種類、正しいまき方やタイミングなど、伝統の中に込められた意味を詳しく見ていきましょう。
豆をまく理由と使う豆の種類
節分で豆をまくのは、「魔(ま)を滅(めっ)する」という言葉遊びに由来しています。古くから豆には穀霊が宿ると考えられており、悪い気を払う力があるとされてきました。特に「炒った豆」を使うのは、芽が出る(=邪気が再び生じる)ことを防ぐためです。
また、地域によって使われる豆の種類にも違いがあります。雪国では落花生を使う地域が多く、拾いやすく衛生的な点から広まりました。以下は代表的な地域別の特徴です。
| 地域 | 使用する豆 | 特徴 |
|---|---|---|
| 関東・関西 | 炒り大豆 | 古くからの伝統。鬼門や玄関にまいて厄除け。 |
| 北海道・東北 | 殻付き落花生 | 雪の中でも拾いやすく、衛生的。 |
| 九州 | 大豆または炒り黒豆 | 「黒」が魔除けの色とされ、縁起が良いとされる。 |
豆まきに使う豆ひとつにも、地域の知恵や暮らしの工夫が息づいています。形は違っても、家族の健康と福を願う気持ちは全国共通といえるでしょう。
正しい豆まきの方法とタイミング
豆まきは、鬼が出るとされる夜に行うのが一般的です。太陽が沈んでから行うことで、邪気を追い払う力が強まると信じられてきました。
家の外に向かって「鬼は外」と言いながら豆をまき、続けて家の中に「福は内」と唱えてまきます。まいた豆をそのままにせず、軽く掃除することで厄を取り除いた意味になるともいわれています。
豆をまく順番は、玄関や窓、鬼門(北東)から始めて、家の中心に向かって行うのが良いとされます。地域や家庭によっては、家長が行うほか、年男・年女が担当する場合もあります。形式にこだわりすぎず、感謝の気持ちを込めて行うことが何より大切です。
年齢の数だけ豆を食べる意味
豆まきのあとに豆を食べるのは、「体の中にある厄を払う」という意味があります。自分の年齢の数だけ豆を食べることで、1年の健康と長寿を願うのです。
一部の地域では、実年齢ではなく「数え年(生まれた時点を1歳とする考え方)」で食べるところもあります。また、年齢より1つ多く食べる「来年の健康を先に願う」という風習もあります。
豆を味わう時間は、節分の締めくくりでもあり、「新しい年を迎える心の準備」を整える儀式といえます。豆の一粒ひと粒に感謝の気持ちを込めて味わうことで、節分の意味がより深く感じられるでしょう。
節分行事の今と昔|現代の楽しみ方
節分は古くから伝わる行事ですが、現代では家族や地域のイベントとして新しい形に進化しています。伝統と現代の楽しみ方を組み合わせることで、より多くの人が節分に親しめるようになりました。
家庭でできる節分の過ごし方
家庭では、豆まきに加えて恵方巻きを食べる習慣も広まっています。恵方巻きは、その年の縁起の良い方角を向いて願いごとをしながら黙って食べるのが特徴です。また、子どもと一緒に鬼のお面を作ったり、豆を紙コップに入れてまいたりするなど、遊び感覚で楽しむ家庭も増えています。ちょっとした工夫で、節分を家族の思い出深いイベントに変えられます。
神社や寺院で行われる節分祭の様子
全国の神社や寺院では、節分の日に「節分祭」や「豆まき式」が行われます。有名人や年男・年女が舞台から豆をまく光景は、多くの参拝客で賑わいます。特に浅草寺や成田山新勝寺の節分会は規模が大きく、毎年多くの人が参加します。こうした伝統的な行事に触れることで、節分の本来の意味や文化を肌で感じることができるでしょう。
恵方巻きなど新しい風習との関係
恵方巻きはもともと関西地方の風習でしたが、近年では全国的に定着しました。一本まるごと食べることで「縁を切らない」とされ、家族や商売繁盛を願う意味があります。コンビニやスーパーでも販売されるようになり、節分の象徴として親しまれるようになりました。古くからの豆まきに加えて、新しい形の節分を取り入れることで、時代に合った文化の継承ができるようになります。
節分の掛け声と家庭行事を子どもに伝えるポイント
節分は家族で楽しめる行事であり、子どもに日本の伝統を伝える良い機会になります。
行事の意味を一緒に学びながら、親子で参加することで、節分への理解と親しみが深まります。
子どもと一緒に楽しめる豆まきの工夫
小さな子どもと一緒に豆まきをする場合は、安全面を意識することが大切です。硬い豆の代わりに、新聞紙や紙を丸めて豆に見立てたり、ビニールボールを使ったりするのもおすすめです。鬼役を家族で交代しながら演じると、自然と笑顔があふれる時間に変わります。また、「鬼は外!」のあとに「ありがとう、鬼さん」と声をかけるなど、恐怖ではなく優しさを教える工夫も有効です。遊びながら行うことで、子どもが自然と日本の風習に親しめるようになります。
伝統を伝えるための声かけや絵本の活用
子どもに節分の由来を伝えるときは、難しい言葉を避けて物語のように話すと理解しやすくなります。「昔の人は、病気や怖いことを“鬼”と呼んでいたんだよ」「だからみんなで鬼を追い出して元気に過ごしたんだね」といった声かけをすることで、子どもも興味を持ちやすくなります。また、節分をテーマにした絵本を一緒に読むのも良い方法です。読み聞かせを通して、節分が「家族で健康と幸せを祈る日」だと理解してもらうことができます。
まとめ
「鬼は外・福は内」という掛け声には、古来から受け継がれる日本人の祈りと優しさが込められています。
季節の変わり目に災いや不安を追い払い、家族の幸せと健康を願う節分の行事は、今も多くの人の心に息づいています。
節分は、1年の厄を払って新しい福を迎える日です。家庭円満や金運、健康への願いを込めて豆をまくように、日々の暮らしの中でも「安心への備え」を整えることが大切です。
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