【FP監修】会社員の副業ガイド! 確定申告は必要?副業を始めるうえでの確認ポイント
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2017年に厚生労働省による「働き方改革実行計画」が実施され、安心して副業に取り組むことができるようになり、副業に対する関心が高まっています。
会社員として働いている方の中でも、経済の不確実性や終身雇用制度が薄れつつある現代において「収入増加」や「スキルアップ」のために、副業を始めようと考えている人も多いのではないでしょうか。
この記事では、会社員が副業を始める前に知っておくべき基本的な情報と、確定申告のポイントについて解説します。
副業を始める際には、法律や税務に関する理解を深めておくことが重要です。トラブルを避け、スムーズに副業を始めましょう。
会社員の副業のルール
法的には、憲法第22条において職業選択の自由が確保されており副業自体は合法です。
しかし、会社によっては就業規則や就業契約書で副業に関する制限を設けている場合があります。そのため、副業を始める前に自分の所属する企業のルールをよく確認することが重要です。
会社で副業が認められているか確認するポイント
自分が所属している企業の副業に関するルールは、以下の2つを確認してみると良いでしょう。
就業契約書
契約書に副業に関する記載があるかを確認します。
会社の副業ポリシー
競業避止義務や時間の制限、業務内容に関して制約があることがあります。
また、厚生労働省の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」において、企業が副業を禁止・制限できる事例をあげているので参考にしてみてください。
- (1)労務提供上の支障がある場合
- (2)業務上の秘密が漏洩する場合
- (3)競業により自社の利益が害される場合
- (4)自社の名誉や信用を損なう行為や信頼関係を破壊する行為がある場合
出典:「副業・兼業の促進に関するガイドライン」(厚生労働省)
副業を始める前に知っておきたい税金の知識
自分の所属する会社のルールを確認した後は、税金のルールを確認しましょう。
(1)副業から得た所得の分類
副業で得た所得に対して、正しく税金を申告しないと、追徴課税を受けるといった後々のトラブルに発展するリスクがあります。
所得税は、10種類に分類されています。種類によって申告のルールが異なるので、まずは自分の副業から得た所得がどれに当てはまるのかを確認する必要があります。
副業は、「雑所得」として扱われることも多いですが、その他にも、副業のパート・アルバイトで得た収入の場合は「給与所得」、ご自身が事業を営んで得た収入は「事業所得」に該当します。
(2)税金に関する基本知識
ここでは、本業の給与所得と副業で得た収入の税務上の扱いについて触れます。
給与所得と副業収入の大きな違いは、源泉徴収の有無にあります。
本業である会社員としての給与所得は、自動的に税金が差し引かれ、税務署に納税されます。
しかし、副業の収入は源泉徴収が行われないことが多く、確定申告を通じて納税する必要があります。確定申告とは、個人や法人が1年間の所得を国に申告し、税額を確定させる手続きです。確定申告を行うことで、税金の過不足が調整されます。
副業収入については、以下の場合に確定申告が必要です。
- 1. 副業収入が給与所得の場合
副業の給与所得の収入金額が20万円を超える場合 - 2. 副業収入が給与所得以外の場合
各種の所得金額の合計額が20万円を超える場合
(3)副業の確定申告
ここでは、確定申告の手順を紹介します。
確定申告期間
確定申告の期間は、毎年2月16日から3月15日までです。
この期間に、自分の収入と経費を整理し、申告書を作成して税務署に提出する必要があります。
必要な書類
確定申告を提出する際に、必要な主な書類は次のとおりです。(令和5年時点)
以下は主な書類で、控除等を活用する場合はその他の書類も必要ですので、必要な書類は適宜国税庁のホームページなどを確認するようにしましょう。
- ●確定申告書
- ●マイナンバーを確認するための本人確認書類
- ●(雑所得の場合)収入金額、必要経費の金額及びその源泉徴収税額の分かるもの
- ●(給与所得の場合)源泉徴収票
確定申告の手順
1. 副業に係る所得の⾦額を計算する。
2. 確定申告書を作成する。
- ● 国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を利用すると、必要情報を入力するだけで簡単に申告書が作成できます。
参照:【確定申告書等作成コーナー】-作成コーナートップ - ● e-Tax(電子申告)を使用すれば、インターネットから直接送信も可能です。
参照:e-Taxの利用方法|令和5年分 確定申告特集
3. 申告書の提出
申告書の提出方法は3パターンあります。
- (1)e-Taxで申告する。
- (2)郵便又は信書便により、住所地等の所轄税務署又は業務センターに送付する。
※確定申告書は、「信書」に当たることから、送付する場合には、「郵便物」(第一種郵便物)又は「信書便物」として送付する必要があります。 - (3)住所地等の所轄税務署の受付に提出する。
※税務署の時間外収受箱への投函により、提出することもできます。
参照:申告書の提出方法|国税庁
4. 税⾦を納付する。
申告の結果、納税が必要な場合は期限までに納付します。
銀行振り込みやキャッシュレス納付など、複数の納付方法が利用できます。
参考:【税金の納付】|国税庁
副業で注意すべき税金のポイント
(1)所得税以外の税金
副業によって発生する所得税について説明してきましたが、所得の多寡にかかわらず住民税の申告も必要ですのでお住いの市区町村のルールに従って申告する必要があります。
また、副業の事業規模によっては消費税がかかる場合もあります。
例えば、個人事業主として副業をしている場合、年間の売上が1,000万円を超えると消費税の申告義務が発生します。
副業を行う際には、所得税の申告だけでなく、住民税や消費税の取り扱いも確認しておきましょう。
(2)所得控除の活用方法
副業にかかった費用は経費として申告することができ、これにより課税対象の所得を減らすことができます。
また、青色申告を活用してみても良いかもしれません。青色申告は、個人事業主やフリーランスなどが税制上の優遇を受けるために行う申告方法の一つです。
一定の条件を満たす配偶者や親族に支払った給与は、必要経費に算入することができるほか、青色申告特別控除を受けられるメリットもあります。
まとめ
今回は、会社員の方向けに副業を始める際の確認ポイントと税務上の注意点について解説しました。
副業をおこなうことで得られるメリットは収入増加や自己実現など、多岐にわたります。一方で、秘密保持を含む本業の就業規則の順守や、税務申告などを守らないとご自身はもちろん勤める会社のリスクになってしまいます。
副業をするということは、労働時間が増えるということです。これにより、健康状態に支障をきたし、本業に影響が出てしまう可能性もあります。
そのような状況にならないように、ルールの順守と健康管理に留意して、トラブルなく副業を始めてみてはいかがでしょうか。
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