【FP監修】払済保険とは?仕組みをわかりやすく解説します
- 保 険その他

保険加入時によく考えて決めたベストなプランであっても、家庭を取り巻く状況が変化すると適した保障内容も変わってしまいます。
契約の切り替えの必要性を感じたとき、または経済的に余裕がなくなり保険料の支払いが難しくなったとき、選択肢の1つに入れたいのが払済保険です。
ここでは、払済保険の仕組みとメリット、そして払済保険を利用する場合の注意点をご紹介します。
払済保険の仕組み

払済保険とは、現在契約している保険の「保障期間」を変えずに、「保険料の支払いを済ませること」を言います。
とは言っても、一時払保険料を新たに用意する必要はありません。
保険料の支払いを中止し、その時点での解約返戻金を一時払保険料として充当し、その金額に見合う保障額まで下げることによって保険料の負担を軽くします。
払済保険、というと保険商品の名前だと勘違いされる方もおられるかもしれませんが、これは商品名ではありません。
解約返戻金がないと払済保険への変更はできないので、積立型の保険である場合が前提です。
金銭的に余裕がなく、保険料の支払いを続けるのが困難になったとき、加入中の保険を解約するという手段をまず考えると思います。
しかし、保険料負担をなくす方法は解約だけではありません。
払済保険への変更なら、保障を継続しながら保険料負担をなくすことができるのです。
払済保険のメリット

払済保険のメリットについて確認しましょう。
●変更した時点から保険料の支払いが不要になる
●解約することなく保障を続けられる
●払済後も解約返戻金は増えていく
●告知・診査不要で手続きできる
【変更した時点から保険料の支払いが不要になる】
保険に加入するときは、今後のライフプランや仕事、家族の状況などの予測を立てたうえで最適な商品を選ぶことでしょう。
しかし、予測不可能な環境の変化により、保険料を支払い続けるのが困難になる可能性も十分に考えられます。
そんなとき、払済保険に変更すれば、その時点から保険料が発生しなくなるため、以降の保険料負担をなくせます。
【解約せず保障を続けられる】
保険を解約すると、保険料負担はなくなりますが、当然、保障もなくなってしまいます。
必要のない保障なら解約しても問題ありませんが、必要な保障まですべてなくしてしまっては、不安が残ってしまいます。
払済保険であれば、保障額は減ってしまうものの、解約せず保障を継続できるため、最低限の保障を確保しながら、保険料負担をなくせます。
保険を見直すにあたって、現在の保険を解約し新たな保険に加入しようとする場合にも、払済保険にすれば以後の保険料の負担なく保障を持ち続けることが可能です。
【払済後も解約返戻金は増えていく】
先述したように、払済保険への変更手続きをすると、その時点までに積み立てた解約返戻金をもとに保障が続くため、解約返戻金は実質無くなる場合もあります。
しかしながら、払済後も契約時の予定利率で運用は続きます。
そのため、少しずつであるものの解約返戻金が増え、解約したときは解約返戻金を受取ることができる可能性があります。
【告知・診査不要で手続きできる】
加入中の保険を払済保険に変更する場合は、新規の契約ではないため、告知や診査なしで手続きできます。
そのため、病気によって新しく保険に加入する場合が難しい方でも、見直しの選択肢として検討できるのもメリットです。
払済保険にする場合の注意点

メリットだけを見ると、良いところばかりの制度に思えますが、やはり注意しなければいけない点もいくつかあります。
●各種特約が消滅する
●保障額が減額する
●払済保険にできない場合がある
●新しい保険への加入は審査が必要
【各種特約が消滅する】
払済保険にすることで、主契約である死亡保障に付随している特約は消滅してしまうと覚えておきましょう。
払済保険への変更を検討している保険契約に、医療特約・介護特約・収入保障特約など、さまざまな保障を特約としてつけている場合は特に注意が必要です。
ただし、リビング・ニーズ特約は継続できる保険が一般的です。
払済保険への変更を検討している場合、自分や家族にとって必要な保障が、払済保険への変更を検討している保険以外でカバーできているかどうか、一度見直してみることが大切です。
【保障額が減額する】
先述しましたが、払済保険にすると保障額は減ります。
保険料の負担を軽減させたとしても、万一の場合に保険金額が不足していては、本末転倒です。
一度払済保険へ変更すると、基本的には契約を元に戻せませんので、慎重に決定してください。
払済保険への変更によって減額された分は、比較的安価な掛け捨ての定期保険で必要期間のみ補うことも一つの方法です。
保障額が減る事を避けたい場合は、「延長保険」の選択も視野に入れましょう。こちらは、「保障期間」を解約返戻金の額に見合う期間に短くし、同額の「保障額」の定期保険へ移行する仕組みです。
【払済保険にできない場合がある】
払済保険は、変更時点での解約返戻金を一時払保険料にあてるため、解約返戻金が少ない場合は変更できない可能性があります。
他にも、保険の種類や保険会社の規定などによっては、変更できない場合があります。
個人年金保険料税制適格特約がついている個人年金保険の場合、加入後10年間は払済保険にはできない 、といった制限を設けていることもあります。
払済保険への変更を検討したい場合は保険会社に確認しましょう。
【新しい保険への加入は審査が必要】
保険の見直しをするとき、特にメインとなる保険を新しく契約し、すでに加入している保険を払済保険に変更したいという場合、注意すべきことがあります。
それは、新しい保険の審査をすべて終え、契約成立後に、加入中の契約を変更することです。
払済保険への変更は審査や告知が不要の場合が多いですが、新しく保険に加入する際は、健康状態などの告知や審査が必要です。
そのため、新しく加入する保険の申込みを終えた時点で、今加入中の保険を払済保険に変更してしまうと、新しい保険の審査・告知で、万が一不成立となってしまった場合、思ったような保障を得る場合が難しくなってしまう危険性があります。
払済保険に変更した場合、多くの場合は元に戻せないため、そのようなリスクを避けるためにも、加入中の保険を払済保険に変更するのは新しい保険の契約が成立してからにする方が安全です。
払済保険を具体例で簡単に理解しよう

払済保険は便利な仕組みではあるもののデメリットもあるため、充分に理解しないまま利用してしまうと思わぬ失敗をしてしまう場合があります。
ここまで見てきて、払済保険への変更を検討してみたいという方もおられるかもしれません。
より理解を深めるために、払済保険への変更をした場合に保険がどのように変わるのかを保険種類別に見ていきましょう。
まずは終身保険の場合です。
終身保険を払済保険への変更後、以降は保険料の払込不要で保障は続きますが、保障額は下がります。
払済保険への変更後も保険の種類は変わりませんので、終身保険のままとなり、期間の経過とともに解約返戻金は増えていきます。
そのため、解約返戻金の用途が特に無い場合には有効な選択肢であると言えます。
次に養老保険の場合を見ていきましょう。
養老保険を払済保険に変更した場合でも、先述のとおり保険期間はそのままで保険の種類は変わりませんので、満期保険金を受取ることができます。
また、終身保険のケースと同様に、払済保険に変更後は保険料の払込不要で保障は続きますが、保障額は下がります。
養老保険は死亡保険金と満期保険金が同額となるため、保障額と同様に満期保険金額も下がるのです。
ただし、養老保険では満期まで保険料を支払って満期保険金を受取った場合と、途中で払済保険に変更して払込を中止し、減額された満期保険金を受取った場合とで、最終的に収支として有利となるのがどちらなのかを確認の上、払済保険を検討することをお勧めします。
自分が加入している保険内容をしっかりと把握し、保険会社に試算してもらう等、定期的にチェックすることが必要なのです。
またどの保険種類であっても、解約返戻金が充分に貯まっていない状態での早期の払済保険や、解約返戻金を低く設定することで保険料を抑える低解約返戻金型の払込期間中の払済保険などは保障額や解約返戻金額がより少なくなり、払込保険料に対して「損」をする可能性が高くなります。
保険料の支払いをストップできる払済保険への変更は非常に便利な仕組みですが、保障額が下がったり損をしてしまう場合もあるため、充分に注意して検討することが必要です。
払済保険の仕組みを理解して活用を!

保険の見直しを検討する際、「解約するか」、それとも「そのまま継続するか」という2つの選択肢のちょうど中間に位置するのが払済保険だと言えます。
新しい保険商品で今の生活ニーズにあった保障を充実させたり、掛け捨ての保険商品と組み合わせて保障の減額分を補ったりと、ライフプランにあわせて上手に活用していきたいものです。
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