レム睡眠・ノンレム睡眠の違いと「眠りが浅い原因」とは?睡眠不足が招く健康リスクと備えの基礎知識【FP監修】
- 健 康

「夜中に何度も目が覚める」「しっかり寝たはずなのに疲れが抜けない」そんな状態が続くと、自分の眠りに問題があるのではと不安に感じる方も多いのではないでしょうか。睡眠は単に時間の長さだけでなく、質も重要です。睡眠の質は、レム睡眠とノンレム睡眠のバランスによって大きく左右されます。
この記事では、レム睡眠とノンレム睡眠の違いを基本から整理し、眠りが浅くなる原因や、睡眠不足が続いたときに起こりやすい体への影響について解説します。健康リスクへの対策として、日々の生活で見直しやすい習慣や、不調が続いた場合の対処法も紹介しますので、最近よく眠れないと感じている方は参考にしてください。
レム睡眠とノンレム睡眠の違い
睡眠は単一の状態ではなく、性質の異なる「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」の2つの眠りが交互に繰り返されることで構成されています。どちらか一方が重要なのではなく、それぞれが独自の役割を担い、バランスよく繰り返されることで脳と体の休息が促されます。
まずは、それぞれの特徴と睡眠サイクルを整理しましょう。
レム睡眠の特徴
レム睡眠(REM sleep:Rapid Eye Movement sleep)は、全身の筋肉が弛緩し、体を休める一方で、脳は比較的活発に働いている状態です。レム睡眠中は、夢を見やすいといわれ、眼球が小刻みに動く特徴があります。
また、脳が活動しているため、外からの刺激で目が覚めやすい傾向にあります。
ノンレム睡眠の特徴
ノンレム(non-REM sleep)睡眠は、「脳の眠り」であり、脳も体も休息に入る状態です。眠りの深さに応じて段階がありますが、特に入眠直後のノンレム睡眠は深く、成長ホルモンの分泌により体の修復や回復が行われる、極めて重要な時間となります。
この間には、外部の刺激に反応しにくく、脳がしっかり休んでいる状態です。もし深いノンレム睡眠が不足すると、たとえ睡眠時間を確保しても疲労感や日中の眠気を感じやすく、朝の熟睡感にはノンレム睡眠の質が大きく関わっています。
睡眠サイクル
レム睡眠とノンレム睡眠は、一晩に約90~120分の周期で交互に繰り返されます。入眠直後は深いノンレム睡眠が中心ですが、明け方に近づくにつれてレム睡眠の割合が増え、眠りが徐々に浅くなっていきます。起床後に夢を鮮明に覚えていることがあるのは、このサイクルによるものです。
ストレスや不規則な生活でサイクルが乱れると、深いノンレム睡眠が減少、中途覚醒(睡眠中に目が覚めること)が増えるなど眠りが浅くなり、しっかりと休めた実感が得られにくくなります。睡眠の質を高めるには、この睡眠サイクルのバランスが重要です。
眠りが浅くなる原因
眠りが浅くなる背景には、生活習慣だけでなく、心身の状態や環境の変化が複雑に関わっています。原因は一つとは限らず、複数の要素が関わっていることもよくあります。
ストレスや緊張
仕事や対人関係のストレスにより交感神経が優位な状態が続くと、心身がリラックスできず、眠りの質が低下します。布団に入っても考えごとが止まらず、神経が高ぶっているときは、寝付きが悪くなるだけでなく、脳が警戒状態にあるため小さな音でも目が覚めやすくなります。
生活リズム・体内時計の乱れ
就寝・起床時間が日によって大きく変動すると、体内時計(サーカディアンリズム)が乱れます。体内時計は睡眠のタイミングだけでなく、体温調節やホルモン分泌にも影響しているため、リズムが崩れると「眠りたい時間」に深い睡眠に入ることができなくなります。休日の「寝だめ」も体内時計をずらす要因となるため注意が必要です。
寝る前の行動習慣
就寝前の習慣が眠りの妨げになっているケースも多く見られます。夜間のスマートフォンやパソコンのブルーライトは、睡眠ホルモンである「メラトニン」の分泌を抑制することがあり、体内時計を乱す場合があります。
また、寝る直前の食事や、過度なアルコールやカフェインの摂取も、睡眠の質を低下させる可能性があります。
加齢による変化
加齢に伴い、睡眠の質は低下する傾向があります。高齢者は体内時計の変化により、早寝早起きになることが多く、深い眠りのノンレム睡眠の時間は減少します。
また、尿意で目が覚める頻度が増えるなど、中途覚醒や早朝覚醒があると、眠りが浅くなりやすいといわれています。
睡眠障害や病気の影響
セルフケアで改善しない場合、何らかの疾患が関係している可能性があります。代表的なものには、「不眠症」、睡眠中に呼吸が止まることで脳が一時的に覚醒してしまう「睡眠時無呼吸症候群」、足の不快感で眠れない「むずむず脚症候群」などがあります。また、うつ病などのメンタル疾患の初期症状として眠りの浅さが現れることもあります。
睡眠不足が招く健康リスク
睡眠不足は単なる「眠気」の問題に留まらず、放置すると心身の健康を深刻に脅かすリスクとなります。
日中の眠気と集中力低下
睡眠の質が低下すると、日中に眠気を感じやすくなるだけでなく、脳のパフォーマンスが低下します。集中力や作業効率が低下し、記憶力も鈍ります。もし会議中やデスクワーク中にぼんやりする時間が増えた場合には、脳が休息を求めているサインかもしれません。
判断力低下
睡眠不足が続くと、判断力が低下し、居眠りやマイクロスリープを引き起こすことがあります。特に運転中や機械操作中のヒューマンエラーは、重大な事故に直結する可能性もあり、非常に危険です。
生活習慣病のリスク上昇
睡眠不足が数日続くだけで、食欲を抑えるホルモンの分泌が減り、逆に食欲を高めるホルモンの分泌が増えるため、肥満を引き起こす可能性があります。また、慢性的な睡眠不足は、糖代謝の悪化や血圧の上昇を招くことがあり、高血圧、糖尿病といった生活習慣病の発症・悪化リスクを高める可能性が指摘されています。
メンタル不調との関係
睡眠と心の健康は密接に関係しています。睡眠不足が続くと、感情をコントロールしにくくなり、イライラや不安感が強まることがあります。
さらにこの状態が長引くと、意欲の低下や抑うつ状態を招き、心の不調につながるリスクがあります。
睡眠の質を整えるための習慣
睡眠の質を改善したい場合には、まず生活習慣を見直すことが基本です。すべてを一度に変える必要はないため、無理なく続けられることから始めましょう。
- 起床時間を一定にし、体内時計を整える
- 起きたらまず太陽の光を浴び、覚醒スイッチを入れる
- 寝る前の刺激(スマホ、カフェイン等)を減らす
- 自分に合った寝具を選び、寝室環境を整える
起床時間をそろえる工夫
体内時計を整えるためには、休日も含め、毎日同じ時間に起きることが重要です。朝の光を浴びると、その14~16時間後にメラトニンの分泌により、眠気が現れます。たとえ夜更かしをした翌日でも、決まった時間に起きて日光を浴びることで、その日の夜に眠くなるタイマーが正しくセットされます。「寝る時間」よりも「起きる時間」を意識することが、睡眠改善の土台になります。
食事の整え方
食事の時間も睡眠に影響します。朝食を抜くと体内時計は後ろにずれてしまい、寝つきが悪くなる場合もあるので、朝食はしっかり摂りましょう。また、夜遅い時間の食事は、睡眠の質を低下させる可能性があるため、できれば就寝の2~3時間前までに済ませましょう。
寝室環境の見直し
快適な睡眠には、室温、光、音などの環境を整えることが重要です。室内は暑すぎず寒すぎない温度、夜は光の量を減らしてできるだけ暗い環境、できるだけ静かな環境を整えて眠りましょう。また、枕の高さやマットレスの硬さが体に合っているかなどを見直し、小さな不快感を一つずつ取り除くことで、中途覚醒のリスクを減らすことができます。
寝る前の過ごし方
就寝前に脳をリラックスモード(副交感神経優位)に切り替える準備が必要です。寝る1時間前からはスマホを置き、軽いストレッチ、読書、ぬるめのお湯での入浴などで心身をリラックスさせましょう。
もし眠れない場合は、無理にすぐ眠ろうとするよりも、自然に眠気が来るのを待つ心の余裕を持つことも大切です。
眠りの不調が続くときの対処法
生活習慣を見直しても眠りの質が改善しない場合は、一人で抱え込まず、早めに適切な対処をとることが重要です。
受診の目安
以下のような状態が続く場合は、医療機関の受診を検討してください。
- 布団に入ってもなかなか眠れない状態が続いている
- 夜中に何度も目が覚め、その後なかなか寝付けない
- 日中の眠気が強く、仕事や生活に支障が出ている
- いびきが激しい、または睡眠中に呼吸が止まっていると指摘された
相談先の選び方
睡眠に関する悩みは、内科、心療内科、精神科、あるいは睡眠専門外来などで相談できます。症状によって適した診療科は異なるため、まずは身近なかかりつけ医に相談し、必要に応じて専門医を紹介してもらうとスムーズです。
記録しておきたい睡眠の状態
受診の際、自分の睡眠の状態を簡単に記録した「睡眠日誌」があると、診断に役立ちます。寝た時間、起きた時間、中途覚醒の回数、日中の眠気の強さなどを書き留めておくことで、客観的な状態を伝えやすくなり、見直すべきポイントも明確になります。
まとめ|レム睡眠とノンレム睡眠の違いを知り、眠りの質と備えを考えよう
レム睡眠とノンレム睡眠は、どちらも私たちの心身をメンテナンスするために不可欠な働きです。もし眠りが浅いと感じるときは、生活リズムや寝室の環境、ストレスの影響を疑ってみましょう。
そして睡眠不足が招くリスクを正しく知り、適切な対策を講じることは、将来の健康を守るための大切な「備え」です。まずは起床時間を整えるといった身近な一歩から始めてみてください。もしセルフケアでの改善が難しいと感じたら、専門家に相談することも自分を守るための重要な選択肢です。
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