団体扱保険と団体保険の違いとは?実際の保険商品を例に紹介!

  • 保 険
  • share
  • Tweet
  • LINE

「団体扱保険」と「団体保険」の名前は似ていますが、仕組みの違う保険だとご存知でしょうか?

どちらも勤務先の会社が制度を導入している場合に利用できるもので、個人で契約するよりも保険料が割安になるといった特徴があります。

団体扱保険と団体保険について、その違いやメリット、注意点について保険商品を具体例に出しながら紹介していきます。

団体扱保険とは?

団体扱保険は、被保険者の数など保険会社が求める一定の条件を満たし、勤務先の会社と該当の保険会社が契約を交わしている場合、その従業員が利用できる保険です。

保険料を給与天引きなどにでき、勤務先の会社が保険会社に代わって保険料の領収を代行したりすることで、保険料が割安になる保険です。

規模の大きい企業ほど団体扱保険を福利厚生の一環で導入していることも多く、複数の保険会社と契約を交わしている場合もあります。

保険を契約するには、勤務先で団体扱保険の対象となる保険商品を選び、保険契約自体は個人と保険会社で結びます。

団体扱保険のメリット

・保険料の割引を受けられる

個人で契約するよりも、保険料が割安になります。一般的に、後述する団体保険と団体扱保険の割引率は、団体(扱)割引と損害率による割引によって割引率が決まり、毎年見直されます。

保険会社や契約する保険によって割引率は異なりますが、個人で契約する場合と比べて3~30%程度の割引を受けられるようです。

・保険料の支払いを給与天引きにできる

通常、保険料の支払いは口座振替やクレジットカードで支払いますが、給与天引きにできます。

団体扱保険の注意点

・契約できる保険が限られる

前述のとおり、勤務先の会社と該当の保険会社が契約を結んでいる場合のみ利用できるため、契約できる保険が限られます。

団体扱保険で自身が希望する保険会社や保障内容がない可能性もあります。

・転職や退職する場合、割引がなくなる可能性がある

転職や退職をすると割引が受けられなくなり、保険料が上がる可能性があります。

生命保険の場合、退職時の口座振替に伴い一般的な保険料率に変更となることが多いようです。損害保険は保険期間が満了したら、次回更新時から保険料が上がることもあります。

転職の場合、転職先の会社が該当の保険会社と団体扱いの契約をしていれば、再び団体扱いでの保険料が適用されます。ただし、適用割引は転職先の割引率となるため注意しましょう。

団体扱保険の商品にはどんなものがある?

団体扱保険の特徴を紹介してきましたが、どんな商品があるのでしょうか。

一例として、イオン保険サービスで取り扱っている、イオングループ従業員の方向けの自動車保険をご紹介します。

イオン 団体扱自動車保険

・団体扱割引率 25.0%割引

団体扱いの自動車保険を取り扱っている会社の中でも、高い割引率となっています。個人契約に比べて25%も割安になるのは魅力的ですね。

※2021年度団体扱割引率

・時間給社員も契約できる

正社員だけでなく、時間給社員も契約できるのは幅広い雇用形態があるイオングループならではのポイントではないでしょうか。時間給社員も利用できる福利厚生は、ぜひ有効活用したいですね。

・他社からの切り替えも可能

現在他社の自動車保険に加入していても、切り替えが可能です。その際、等級も原則引き継げます。

・退職後も「団体扱」で保険を継続できる

退職後も団体扱保険として継続が可能です。団体扱いの割引率を退職後も継続できるのは、嬉しいポイントですね。

※退職された方(OB)が加入できる団体への移行となった場合、団体や保険種目によって割引率及び保険料が変わる可能性があります。

団体保険とは?

団体扱保険と似た用語で「団体保険」というものがあります。

団体保険も勤務先が導入している場合に利用できるものですが、団体扱保険とは大きな違いがあります。

契約を結ぶのが「個人と保険会社」か「会社(勤務先)と保険会社」か、という点です。

団体扱保険では、個人と保険会社が契約を結び、その保険料の領収代行などを勤務先の会社が行います。

それに対して団体保険は、勤務先の会社が「契約者」として保険会社と契約を結び、従業員は勤務先を窓口とし「保険加入者」としてその保険に加入します。

保険の募集は勤務先から従業員に対して行い、従業員は加入申込書を勤務先に提出することで保険に加入できます。

割引率は団体扱保険よりも高く、団体専用の保険商品から選びます。商品は1年更新型の定期保険が多い傾向にあります。

団体保険のメリット

・団体扱保険よりも割引率が高い

団体割引と損害率による割引を連算した割引率で、個人で契約する場合と比べて5~50%程度の割引を受けられるようです。団体保険の方が被保険者の数など、保険会社が企業に求める条件が厳しくなっており、その分割引率も高くなっています。

・加入手続きが簡単

勤務先で手続きが完結するため、手軽に加入できます。また、個人で契約する場合に比べて健康状況の告知も簡単で、会社の定期健康診断の結果を利用した手続きが可能です。

・保険料の支払いを給与天引きにできる

団体保険のため、給与天引きや口座振替で支払いが可能です。

団体保険の注意点

・転職や退職すると解約となる

団体保険はその会社に勤める従業員向けの保険となるため、転職などで会社を辞める場合、保険は原則解約となります。

ただし、退職者団体に移行手続きすることで保険を継続できる場合もあり、対応は勤務先や保険会社によって異なります。

・退職後、個人で保険に契約できない場合がある

退職後も団体保険を継続できない場合、新たに個人で一般の保険への契約を検討されることと思います。

しかし生命保険の場合は、その時点で既往歴や治療中の持病がある場合、新たな保険に加入しにくくなる可能性があります。

既往歴や持病があっても加入できる保険はありますが、保険料が割増になる傾向があります。生命保険はメインの保険を個人契約で加入しておく方が安心かもしれません。

団体保険をメインにする場合は退職後も継続可能かどうか、また現役時代と比べて補償内容や条件に違いがないか等を確認するようにしましょう。

団体保険の商品にはどんなものがある?

ここでも一例として、イオン保険サービスで取り扱っている、イオングループ従業員の方向けの団体総合生活保険をご紹介します。

イオン 団体総合生活保険

・日常のさまざまなけがや賠償事故をカバー

仕事中や家庭内でのケガをはじめ、お店で誤って商品を壊してしまった場合や自宅の家財が盗難被害にあった場合など、日常で生活している場合に起こりうるさまざまな賠償事故をカバーしています。

・新たにがんの再発や生活支援補償も付帯

2021年5月から新たに「がん再発転移補償特約」「がん生活支援特約」が付帯されました。がん患者への不安に寄り添い、また長期的な治療の中でQOL維持のために備えられます。

・最大約44%の割引が受けられる

団体割引25%、損害率による割引25%によって、最大44%もの保険料の割引を受けることができます。ただし、損害率の割引は天災危険補償部分など一部の補償部分には適用されない場合があります。

・夫婦や家族の補償にもなる

補償内容によって「本人型」「夫婦型」「家族型」から選ぶことができます。自分だけではなく、大切な家族の分も補償できるのは嬉しいポイントですね。

なお、がん補償や医療補償など一部の補償は「本人型」しか選択できないものもあります。

・退職しても保険を継続できる

退職後も、退職者団体へ移行手続きをすることで継続が可能です。退職後の補償としても安心できますね。

まとめ

団体扱保険と団体保険について、具体的な商品内容も含めて紹介しました。

どちらも保険料が割安になるといった大きなメリットがありますが、転職や退職に伴い、保険そのものがなくなる可能性もあります。

団体扱保険や団体保険を検討する際は、まずは自分に必要な保障が何かを整理しておきましょう。

また、退職後の扱いがどうなるのかを確認しておくことも大切です。

会社の福利厚生は従業員とその家族のための支援の一つです。

団体(扱)保険を有効活用して、ご自身の保険設計に取り入れてみてはいかがでしょうか。

この記事を書いた人

西尾愛奈(にしお まな)

大学卒業後、医療設備メーカーに勤務。20代最後に何か為になる資格を取ろうと思い立ち、生きていくうえで欠かすことのできない「お金」について学びたいと思い、2級FP技能士、AFPを取得。
FPの勉強を通して、お金に対して不安になるのはお金の知識がないからだと気付く。
現職の知識を活かし、医療に強く、お金の基礎知識を広めていけるFPを目指し、FPサテライト所属FPとして活動している。

    SNSシェアしよう!

  • share
  • Tweet
  • LINE

おすすめ保険情報