団体扱保険とは?仕組みや注意点を分かりやすく解説

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保険の加入を検討する場合、インターネットで検索したり、保険ショップへ足を運んだり、保険会社の担当者から説明を受けたりといった方法が思い浮かびます。

しかしそれ以外にも、会社員で勤務先において団体(扱)保険などの制度があれば、保険に加入できる可能性があるのです。

今回は、会社を通じて加入すると保険料が割引になり、加入の手間が軽減される「団体扱保険」について解説します。

団体扱保険とは

団体扱保険とは、会社などの団体で働いている従業員を契約者とし、保険契約自体は保険会社と契約者が結びます。ただ一般の保険契約と違うのは、保険料の徴収を「勤務先の会社(団体)」が行う点です。

その仕組みについて、より詳しく確認しましょう。

団体扱保険の仕組み

団体扱保険は、会社が一定の被保険者数など保険会社が求める要件を満たし、かつ保険会社との間で団体扱に関する契約を取り交わすことで利用できる仕組みです。

勤務先の従業員が契約可能で、一般的に保険料は給与天引きなどの手段によって行われます。

主に福利厚生の一環として導入している企業が多く、個人で保険に加入するよりも保険料が割安になります。

契約は、従業員と保険会社で個別に保険契約を締結し、保険証券は契約者個人に発行されます。

団体扱保険の種類

勤務先によって違いはありますが、団体扱保険ではさまざまな種類の保険商品が取扱われています。

  • 生命保険
  • 医療保険
  • がん保険
  • 自動車保険
  • 火災保険
  • 個人賠償責任保険
  • 介護保険
  • レジャーの保険
  • 携行品保険

これらの保険を単品、またはいくつかの保障がセットになった総合保険などから選ぶことが可能ですが、一般的には、生命保険や医療保険のラインアップが多いようです。

詳しい商品ラインアップについては、勤務先の担当部署または保険会社に確認するとよいでしょう。

団体扱保険と混同しやすい団体保険

団体扱保険とよく似た保険に「団体保険」があります。

会社などの団体で働いている従業員およびその家族を被保険者とする点は一緒ですが、団体扱保険と大きく違うのは、勤務先の企業や団体が契約者となって保険会社と契約する点です。

そのため保険証書は契約者個人に発行されず、契約者となった勤務先に発行されます。

加入する保険商品は団体保険専用であることが多く、その内容は損害保険のほか、医療保険や所得補償保険などさまざまです。

団体保険の一例として、イオングループ従業員の方向けの団体総合生活保険があります。日常のさまざまなケガや病気、個人賠償責任など幅広く補償する保険で、最大で約44%保険料が割安になるのが特徴です。

※団体割引25%・損害率による割引25%適用(損害率による割引は天災危険補償部分には適用されません。)

団体扱保険のメリットと注意点

団体扱保険のメリットと注意点を確認しましょう。

団体扱保険のメリット

団体扱保険のメリットは、大きく分けて4つあります。

保険料が割安

団体扱保険は、「保険料の割引」が最大のメリットです。団体割引により、保険料が安くなります。しかし、団体保険に比べると割引率は低いようです。

手続きが簡単

勤務先が団体扱とする保険会社の商品ラインアップから必要な保険を選んで、その保険会社と直接契約します。保険会社によってはインターネットから申込みすることも可能です。

保険料を給与天引きで支払える

通常、保険料は口座振替やクレジットカードで支払うことが多いですが、団体扱保険は給与から天引き可能なため、銀行口座を指定したりクレジットカード情報を記入したりする必要がありません。

従業員の家族も被保険者になれる

従業員本人だけではなく、家族も被保険者になることができます。ただし、保険商品によっては従業員本人のみを被保険者とする場合もありますので契約時には注意しておきましょう。

団体扱保険の注意点

続いて団体扱保険の注意点についても確認しましょう。注意点は大きく分けて3つあります。

退職後に手続きが必要

個人と保険会社で契約しているため退職後も継続して加入することが可能ですが、退職時に給与天引きから口座振替やクレジットカード払の取扱いに変更する手続きが必要です。

その場合、団体扱から一般的な契約に変更になる関係で保険料が上がる可能性があります。

また転職に伴う退職で、転職先が元の会社で加入していた生命保険会社と団体扱契約をしている場合は、転職先でも団体扱保険料が適用される可能性があるため、転職先の担当部署に確認してみましょう。

加入できる保険の選択肢が限られる

団体扱保険は、勤務先と保険会社が契約を結び保険商品を提供しているため、保険会社によって取扱う商品の種類や数が限られます。

団体扱になっている保険商品のラインアップにご自身が加入したい保険がある場合はよいですが、ない場合は別の保険を検討することになり、団体扱の割引の適用を受けることはできません。

自分に必要な保障を満たせない可能性がある

上記の「保険の選択肢が限られる」に付随し、保険商品の保障内容も限定されます。ちょうど自分に必要な保障をカバーしていればよいのですが、そうでない場合は自分に必要な保障をオーダーメイドのように選べる一般の保険の方がよいかもしれません。

団体扱保険の加入前に確認したい必要な保障

団体扱保険に加入する前に、公的医療保険制度や他に加入中の保険、家計の預貯金額などを確認したうえで、自分に足りない保障を算出しましょう。

また公的医療保険制度以外にも、勤務先の健康保険組合が独自に給付する付加給付制度がある場合もあります。

付加給付制度とは、1カ月間の医療費の自己負担額の限度額を超過した費用を払い戻してくれる制度です。それ以外にも健康保険組合が傷病や出産時に独自の給付金を用意している場合もあるので、もれなく確認しておきましょう。

しかし、昨今の財務状況の悪化で上乗せの給付金を減らしたり削除したりする健康保険組合が増加傾向にあるそうです。そのため、給付金はあくまでプラスアルファとしてとらえ、いつ貰えなくなっても大丈夫なように試算した方がよいかもしれません。

保険以外で自分が受けられる制度や保障を加味したうえで、本当に自分に必要な保障内容や金額を算出して保険に加入しましょう。そのほうが無駄な保険料を払わずに済み、納得感や安心感も増します。

まとめ

団体扱保険は、勤務先で自分の必要な保障をカバーできる保険商品があれば、申込みも簡単で保険料も安くなり、保険料の払込みも給与天引きができるなどたくさんのメリットがあります。

しかし、そもそも自分に必要な保障をカバーしていなければ、万一の際の保障を活かすことができません。

団体扱保険に限りませんが、保険に加入する前には公的医療保険制度や他に加入中の保険、家計の預貯金額を確認したうえで、自分に足りない保障を算出し検討しましょう。

また、団体扱保険より団体保険の方が保険料は比較的割安になります。そのため、保険加入をする際に、団体保険についても確認しておくとよいでしょう。

これから保険に加入を検討している方もすでに加入されている方も、保障内容をよく確認し、納得できるものを選びましょう。

この記事を書いた人

田端沙織(たばた さおり)

鎌倉市出身、逗子市在住。未就学児~小学生、2男1女の母。
大学を卒業後、証券会社や運用会社に10年以上勤務し、お客様対応や相談業務・営業などに従事。3人目の子どもを産んだことをキッカケに独立し、相談者のニーズに合った、価値あるアドバイスを提供するファイナンシャルプランナーとして活動している。得意分野は資産運用。
また「キッズ・マネー・ステーション認定講師」として3歳~大学生まで、小さいころから正しいお金との付き合い方などを「楽しく・わかりやすく」教えている。難しいお金の話を子供向けにわかりやすく伝える工夫を日々行っているおかげか、ご相談者やセミナー聴講者に「話がわかりやすく、スッと入ってくる」と好評をいただいている。

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