【FP監修】2024年からどう変わる?新NISAについて

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将来に向けて、お金の準備をしていますか?

老後資金や子どもの教育資金など「早めに備えておきたい」と考える方も多いのではないでしょうか。

しかし、超低金利時代のいま、銀行預金などの貯蓄だけでお金が増えるというのは考えにくいでしょう。お金を増やす方法のひとつとして投資がありますが、投資に対して「リスクがありそう」とハードルを感じている方もいるのではないでしょうか?

NISAは、そんな初心者の方でも始めやすい投資です。

「NISAのメリットが分からない」「旧制度からどう変わったの?」という方向けに、NISAのしくみや税制優遇制度、旧制度との違いについて解説します。

NISAとは?

「NISA」とは、貯蓄から投資を促すために国が始めた少額投資非課税制度のことをいいます。株や投資信託などに投資を行った場合、通常は売却する際に発生した利益や受け取った配当に対して税金が発生します。NISAは、こうした投資によって得た利益に対してかかる税金を、毎年一定金額まで非課税にする制度です。

2023年12月末までは、一般NISA・つみたてNISA・ジュニアNISAの3種類がありました。一般NISAとつみたてNISAは併用することができず、投資目的に合わせてどちらかひとつを選択する必要がありました。

参考)2023年12月31日までのNISA制度

つみたてNISA 一般NISA ジュニアNISA
利用できる人 日本在住の18歳以上の方(※1)
※ただし、つみたてNISAと一般NISAはどちらか一方を選択して利用可能
日本在住の未成年者(0~17歳)
非課税投資枠 新規投資額で毎年40万円が上限(※2)(非課税投資額は20年間で最大800万円) 新規投資額で毎年120万円が上限(※2)(非課税投資額は20年間で最大600万円) 新規投資額で毎年80万円が上限(※2)(※ただし2023年末で終了)
非課税投資期間 最長20年間 最長5年間(※3) 最長5年間(*3)
投資可能期間 2018年~2042年 2014年~2023年 2016年~2023年(※4)
投資対象商品 長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託 株式・投資信託など 株式・投資信託など
運用管理者 - - 口座開設者本人(未成年者)の両親・祖父母など二親等以内の親族(※5)
払い出し - - 18歳までは払戻の制度あり(※6※7)
  • ※1 口座開設する時の1月1日現在の年齢。成年年齢の引き下げに伴い、2023年は「一般NISA」については18歳以上、ジュニアNISAは0~17歳の方が利用可能。
  • ※2 未使用分があっても翌年以降への繰り越しはできない。
  • ※3 期間終了後、新たな非課税投資枠の移管(ロールオーバー)による継続保有が可能。一般NISAで2024年以降に期間終了となる場合、新しいNISAの非課税投資枠への継続保有が可能となる。
  • ※4 ジュニアNISAは2023年末で終了となるため、2024年以降は新規購入ができない。2024年以降、当初の非課税期間(5年間)の満了を迎えても、18歳になるまでは引き続き非課税で保有可能。
  • ※5 金融機関によって異なる場合がある。
  • ※6 3月31日時点で18歳である年の前年12月31日までの間は、原則として払出しができない。ただし、災害等やむを得ない場合は、非課税での払出しが可能。
  • ※7 2024年以降には、保有している株式・投資信託等および金銭の全額について、年齢にかかわらず、災害等やむを得ない事由によらない場合でも、非課税での払出しが可能となる。

(*1)

2024年1月1日からは、ジュニアNISAが廃止となり、一般NISA・つみたてNISAが一本化され、「成長投資枠」と「つみたて投資枠」として生まれ変わりました。

では、どのように変わるのかをみていきましょう。

新NISAの変更点

旧制度と新制度の比較

制度 現行NISA制度 新NISA制度
つみたてNISA 一般NISA つみたて投資枠 成長投資枠
利用できる人 18歳以上の成人 18歳以上の成人
制度の併用 不可
つみたてNISAと一般NISAはどちらか一方を選択して利用
可能
変更ポイント①NISAが一本化
年間非課税投資枠 新規投資額で最大40万円が上限 新規投資額で最大120万円が上限 最大360万円
変更ポイント②年間投資金額が拡大
120万円 240万円
生涯非課税限度枠 最大800万円 最大600万円 1,800万円
  うち、成長投資枠1,200万円
非課税投資期間 最長20年間 最長5年間 無期限化
変更ポイント③非課税期間が無制限
投資可能期間 2018年~2042年 2014年~2023年 恒久化
変更ポイント④口座開設期間が恒久化
投資対象商品 長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託 株式・投資信託など 長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託 株式・投資信託など
現行制度との関係 - - 2023年末までに現行のつみたてNISAおよび一般NISAにおいて投資した商品は、新しい制度における非課税限度額の外枠で、現行制度の非課税措置を適用

(*3)

新NISAの変更点は大きく4つあります。

1.つみたて投資枠と成長投資枠の併用が可能

旧制度では「一般NISA」「つみたてNISA」「ジュニアNISA」がありましたが、「一般NISA」と「つみたてNISA」は併用ができず、どちらかどれかひとつを選択する必要がありました。新制度では、NISAが一本化することで併用が可能となり、投資できる枠が広がりました。

2.年間投資上限金額が拡大

旧制度では、1年間で投資できる金額の上限が「一般NISA」は年間120万円、「つみたてNISA」は年間40万円と決められていました。新制度では、「成長投資枠」が年間240万円、「つみたて投資枠」が年間120万円に拡大され、併用することで1年間に最大360万円まで投資することが可能になりました。

3.非課税保有期間が無期限化

旧制度では非課税で保有できる期間が決められていましたが、新制度では無期限化されました。保有期間を気にせずに非課税で運用できるのは大きなメリットです。

4.口座開設期間が恒久化

旧制度では、口座開設期間についても期間が設けられていました。新制度では、口座開設には期限を設けず、恒久化されたことで、いつでも口座が開設できるようになりました。

新NISAは旧制度のいい部分を残しつつ、非課税期間が無期限化する、投資上限金額が拡大するなど、利用者にとってより使いやすい制度へ変更されました。

NISAのメリット

運用によって得た利益は非課税

NISAの一番のメリットは「運用によって得た利益が非課税になる」ことです。通常、投資によって得た利益は20.315%の税金(所得税および復興特別所得税15.315%、住民税5%)がかかりますが、NISAの場合は非課税で受取ることができます。

つみたて投資枠では、積立投資として厳選された商品を選べる

新制度のつみたて投資枠は、旧制度の「つみたてNISA」の役割を引き継ぎ、積立投資に特化した投資枠です。そのため「少額からはじめることができる」「投資タイミングの判断をしなくてもいい」という積立投資のメリットを活かした投資商品から選ぶことができます。

対象となる投資信託は、長期・積立・分散投資に適した商品になるよう、販売手数料が0円(ノーロード)で信託報酬(※1)が低い商品など金融庁が定めた一定の要件をもとに厳選されています。

(※1 投資信託の保有中に発生する運用管理費用)

2023年12月現在、つみたて投資枠として引き継がれる、旧「つみたてNISA」の対象商品は271本あり、公募株式投資信託と上場株式投資信託(ETF)から選ぶことができます。(*2)

さらに、成長投資枠で投資可能な商品についても、旧制度の「一般NISA」にはなかった除外要件が追加されるなど、長期保有による 継続的な資産形成をサポートするというもの安定運用を目指した整備がされています。

いつでも換金ができる

NISAは、必要なタイミングでいつでも換金することが可能です。

同じ非課税制度のiDeCoは老後資金を備えることが目的のため、受取り開始年齢に制限がありますが、NISAにそうした制限はありません。

ただ、つみたて投資枠を利用した積立投資は長期で運用することが前提となるため、投資期間が短いと投資効果を十分に得ることができない可能性があります。

安定運用をするためにも、短期での換金は最低限にとどめ、なるべく長期で運用するようにしましょう。

非課税投資枠が再利用できる

新NISAでは、株式や投資信託に投資をした時の買付金額で非課税投資枠が管理される「簿価残高方式」が採用されています。

たとえば、10万円で購入した株式が、運用後に15万円で売却できたとします。その場合、利益である5万円分は非課税投資枠としてカウントはされず、買付金額である10万分の枠が空くことになります。そして、空いた10万円分の枠は翌年以降に非課税投資枠として再利用することができるのです。
再利用が可能になったことで、換金へのハードルも下がり、さらに利便性が向上しました。

NISAの注意点

つみたて投資枠では、選べる投資商品が限られている

メリットで紹介しましたが、つみたて投資枠NISAは積立投資に特化した商品が厳選されています。

投資初心者にとってはありがたいポイントですが、「投資商品を幅広く選びたい」「投資信託以外にも、株式など様々な金融商品に投資をしたい」という場合に、つみたて投資枠の投資先が限られているのはデメリットといえるでしょう。

ただし、以前の制度と異なり、新NISAでは成長投資枠も併用してつかうことができます。
投資先を自由度高く選びたい場合は、様々な金融商品に投資ができる成長投資枠の利用も併せて検討してみるのがいいかもしれません。

損益通算や損失の繰越控除ができない

旧制度と同様に、通常の投資で損失が出た場合に利用できる「損益通算(※2)」や「繰越控除(※3)」がNISAでは利用できません。

(※2 同じ年に発生した利益と損失を相殺すること。上場株式等の投資によって得た利益には通常税金がかかるが、損失が出た場合には利益から損失分を差し引き税金を減らすことができる。)

(※3 損益通算を行ってもなお損失がでる場合、毎年確定申告を行うことで最大3年間損失金額を繰り越して控除することができる。)

損失がでた場合に、このような注意点があることは覚えておきましょう。

また、投資は必ず利益がでるというわけではありません。運用次第では元本割れのリスクがあることも知っておきましょう。

旧NISA制度はどうなる?

2024年より新NISAになりますが、気になるのが旧NISAの扱いですよね。

2023年末までに、旧NISA制度で投資した金融商品は、新NISA制度でつかう非課税投資枠とは別枠での管理となり、旧NISA制度の非課税措置がそのまま適用されました。

つまり、旧NISA制度で2023年末まで金融商品を購入・保有していた場合、一般NISAは5年後の2028年末まで、つみたてNISAは20年後の2043年末まで非課税で保有することができ、その期間内であれば、売却も自由に行えます。

ただし、旧NISAで保有している金融商品を新NISAの口座へと移管することはできません。非課税期間内に売却を行わない場合、期間が終了したあとは自動的に課税口座に移管されますので、注意しましょう。

これからNISAを始めるなら、計画的に

NISAについて、新旧制度の比較をしながら、ポイントについてお伝えしました。

NISAは、国が国民の投資を後押しするために始まった制度です。
特に、つみたて投資枠を活用した積立投資は、これから投資を始める方で手元にまとまった資金がない方や、初心者で不安だから安定的に運用したいという方に向いている投資方法といえるでしょう。

さらに、新NISAでは成長投資枠を活用した自由度の高い投資運用も可能です。
つみたて投資枠をつかって積立投資を行いながら、余剰資金ができたら成長投資枠をつかって成長性の高い金融商品への投資にチャレンジすることもできます。

長期的な資産形成に向けて、NISAの活用を選択肢のひとつに加えてみてはいかがでしょうか。

2023年12月の法令に基づき執筆

*1
金融庁のホームページを参照し筆者作成

*2
出典:金融庁「つみたてNISAの対象商品」>「つみたてNISA対象商品の概要について(2023年11月22日時点)」
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa/20170614-2/28.pdf

*3
以下のホームページを参照し筆者作成

承認番号:23-509(2026/12/20)

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