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【FP監修】親が介護施設に入所することになったら?

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超高齢社会と言われて久しい日本。厚生労働省の「令和3年簡易生命表」によれば、日本人の平均寿命は男性が81.47歳、女性は87.57歳となっています。この数字からもわかるように、介護の問題は私たちの生活と切っても切れない関係にあります。

親が高齢になればなるほど健康面では将来のリスクが増え、介護が自分たちの手に負えなくなり、介護施設への入所を考えなくてはならない時が来るかもしれません。もしものときに慌てないために、介護施設にかかる費用について考えてみませんか?

高齢者の人口増加にともない、介護施設の数も増加し多様化しています。まずは、介護施設の現状を見ていきましょう。

介護施設に入所するには

介護施設に入所するために、まずはどんな施設があるのかを知ることから始めましょう。介護施設は種類も多く、サービスや入居条件などもさまざまです。

介護施設の種類を知る

介護施設には大きく分けると「公的施設」と「民間施設」があります。

公的施設には介護保険施設と呼ばれる「特別養護老人ホーム」「介護老人保険施設」「介護医療院」の3施設と「ケアハウス」があります。民間施設に比べて入居条件などが細かく決められています。

特別養護老人ホームは特養と呼ばれ、費用が比較的安いことで入居希望者が多く、すぐに入居できない場合があります。

介護老人保険施設は退院後の医療ケアやリハビリ等のサービスが中心で、自宅に戻ることを目的とした施設であるため入居期間は3~6ヶ月とされています。

介護医療院は、長期に医療ケアを必要とする要介護認定者を受け入れる施設です。ケアハウスは一般型と介護型があり、一般型は介護認定を受けていない方も入居できますが、数が少ないので入居は簡単ではありません。

民間施設には「介護付き有料老人ホーム」「住宅型有料老人ホーム」「サービス付き高齢者向け住宅」「グループホーム」などがあります。こちらは運営している事業者ごとに入居条件やサービスの内容、費用なども異なるため、それぞれのニーズに合った施設を選ぶことができます。

入居の条件を知る

公的施設を利用するには、要介護認定を受ける必要があります。介護度による入居の制限や、利用できるサービスの限度額など、介護保険を利用するには認定調査を受けなければなりません。

どの施設も基本的には65歳以上の方が入居でき、特養は要介護3以上、介護老人保険施設、介護医療院、ケアハウス(介護型)については要介護1以上が入居の条件になっています。

民間施設では、必ずしも要介護認定が必要ではない施設もあります。まだ介護が常に必要ではないけれど、一人で暮らすのが不安などの理由で入居を希望する方も利用できます。

介護付き有料老人ホームは、原則として65歳以上の方が対象です。介護専用型の施設は要介護1以上が入居条件になりますが、そうでない場合は要介護認定を受けていない方でも入居できます。住居型有料老人ホームの多くは60歳以上の方を対象としていて、自立の方から介護が必要な方まで入居が可能です。

サービス付き高齢者住宅は、60歳以上の方または60歳未満で要介護認定を受けている方が入居できます。介護は必要ないが見守りが必要な時や、将来介護が必要になった時にはサービスを受けることができ、入居時には要介護認定は必要ありません。

グループホームは、認知症の方が少人数で共同生活を送るための施設です。認知症専門の施設であるため、要支援2以上で専門医により認知症の診断を受けている方という条件があります。原則65歳以上の方が対象ですが、認知症介護という特性から、住み慣れた地域で暮らすということを重要視しているため、その地域に住んでいることという条件があるのが特徴です。

入所にかかる費用について

介護施設の種類を理解したところで、もっとも気になるそれぞれの費用を見ていきましょう。

公的施設と民間施設

公的施設に入所し介護保険サービスを利用する場合、介護度によって利用限度額が決められています。たとえば、要介護1の場合1ヶ月あたり16万7,650円、要介護5の場合は36万2,170円となっており、限度額内であれば原則1割負担(収入によっては2割または3割)で利用できます。ただし、限度額を超えた場合は、全額自費になります。

民間施設でも、介護サービス費は原則利用額の1割負担になります。しかし、公的施設に比べて設備やサービスなどが充実していることも多いため、介護以外にかかる費用が高額になることが想定されます。

入居一時金と月額利用料

入居にかかる費用としては、大きく分けて「入居一時金」と「月額利用料」があります。

入居一時金は、入居する時に支払う前払いの家賃のようなものです。公的施設ではケアハウスを除いて支払いは不要です。民間施設の場合は、0円から数百万円という高額なものまでさまざまです。施設の設備の違いや立地条件などによっても違ってくるため、事前に調べておきましょう。

月額利用料は、介護にかかる自己負担額のほかに居住費や食費などがふくまれます。公的施設では、居住費や食費が施設の種類や部屋のタイプによって決められていて、たとえば特別養護老人ホームに入所した場合、食費や居住費などをふくめて1ヶ月あたり約10万円~15万円程度となっています。

民間施設では、施設によって居住費や食費は異なるために幅がありますが、目安として1ヶ月あたり約10万円~30万円くらいといわれています。施設の規模や設備の充実度によっても変わりますし、首都圏よりは少し離れた場所のほうが安くなる傾向があります。しかしこれはあくまでも相場であり、実際は施設にしっかり確認することが大切です。

民間施設での介護サービスの自己負担額については、介護付き有料老人ホームの場合介護度に応じて毎月定額になりますが、住宅型やサービス付き高齢者住宅ではサービスを利用した分を支払います。民間施設を利用する場合覚えておくとよいでしょう。

その他にかかる費用

その他にかかる費用として、まずは医療費があります。また、日常生活に必要なもの、たとえばトイレットペーパーや歯ブラシ、石鹸などは利用者の負担になります。おむつも、公共施設では介護費にふくまれますが民間施設では別に支払いが必要です。

民間施設でよく見られますが、施設内で行われるイベントやレクリエーションなどにかかる費用も請求される場合があります。理美容代なども忘れないようにしましょう。

月額利用料以外にかかる費用については、入居後にトラブルになるケースもあるので事前に確認しておくことが大切です。

介護にかかる費用どう準備する?

では、これらの費用はどう準備すればよいでしょうか?これまで見てきたように、介護にかかる費用はどんな施設に入るかによって大きく異なります。老後の大切な収入減である年金ですが、果たしてそれだけで足りるのでしょうか?

年金だけで介護施設に入れるの?

公的施設であれば、年金だけでも入所することはできる可能性が高いでしょう。ただし、特養は低額ということで人気があり、すぐには入居できません。また、介護度の高い方を優先的に受け入れるのでなかなか簡単にはいかないのが現状です。

民間施設であっても、地域にこだわらなければ年金だけでも入居が可能な施設もあります。ただ、ご自身の住んでいる地域や家族の仕事の状況によっては、離れた場所の施設では難しいということも考えられます。

では、年金だけでは入居できない場合はどうすればよいでしょうか?もちろん不足する分を家族で負担することも一つの方法です。ただ、それぞれの経済状況によってはそれが難しいこともあるでしょう。もし介護施設に入所することで生活が困窮するような状態になってしまう時には、生活保護を申請することも考えましょう。現在では生活保護受給者でも入居できる施設も増えています。

また「特定入居者生活介護サービス費」という制度の利用も検討しましょう。これは公的施設を利用した場合に、居住費と食費が軽減されるという制度です。収入が一定額以下、また世帯の預貯金の額が一定以下の場合に負担限度額を超えた分が返還されます。

まずは親の年金収入などを把握して、しっかりとリサーチすることが大切です。

負担軽減制度について

もし施設での介護サービス費の自己負担額の合計が高額になった場合には、軽減制度があります。「高額介護サービス費」といい、収入によって負担限度額が決められていてそれを超えた分は介護保険から支給されるという制度です。

また「高額医療・高額介護合算制度」により、年間の医療費と介護にかかった費用を合算した場合に、一定の金額を超えた分が返還されます。こちらも世帯の収入や年齢で限度額が決められていますので覚えておきましょう。

確かに介護にかかる費用は大きいですが、それをサポートする負担軽減制度があることを知っているだけでも少し気持ちが楽になりますね。

まとめ

いかがですか?介護施設に入所することになっても、施設によって費用に幅があることをおわかりいただけたと思います。

実は、筆者も親を施設に入所させるという経験をしています。長く一人暮らしをしていた親が急に体調を崩して入院し、医師から退院後の一人暮らしは無理だと言われました。そこから兄弟間での話し合いや施設探しが始まりました。実際に施設をいくつも見学し、費用やサービスのことについても納得がいくまで話を聞きました。時間もかかりましたが、そのおかげで今は安心して親をお願いすることができています。

介護施設は種類も多く、費用やサービスなども複雑でわかりづらいかもしれません。しかし一度入所すれば終の棲家になるかもしれず、こんなはずではなかったと後悔することは避けたいですね。そのためには、家族で話し合っておくことが大切です。

出典:厚生労働省HP「介護事業所・情報関連検索システム「サービスにかかる利用料」について

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