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【FP監修】家族の介護で仕事を辞めないといけない?収入はどうなる?

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将来、家族の介護が必要になったとき、「仕事と介護の両立をどうすべきか」ご心配ではないでしょうか。仕事をしながら家族の介護をしている場合、介護の負担が重くなり仕事を続けるのが難しくなることがあるでしょう。その際に「仕事は辞めないといけない?」「仕事をしない期間の収入はどうしよう?」などと不安に感じる方が多いようです。

今回は介護中の仕事について不安を感じている方に向けて、「介護休業」や「介護休業給付金」などの公的制度をご紹介いたします。制度を利用するにあたっての注意点なども確認しながら、家族の介護生活の負担が軽くなるかどうか検討してみてくださいね。

介護休業について

介護休業とは、家族の介護のために仕事を辞めずに休業することが可能な制度です。この制度について詳しく見ていきましょう。

対象家族

この制度の対象家族は、配偶者、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫が対象となっていますが、事実婚や養子なども対象とされています。

また、介護の必要具合に要件があり、「負傷、疾病又は身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上にわたり常時介護(歩行、排泄、食事等の日常生活に必要な便宜を供与すること)を必要とする状態」とされています。

この、常時介護を必要とする状態の判断基準は、「要介護区分状態」でいうと要介護2以上の状態かどうかを指します。 なお、要介護認定を受けていなくても育児介護休業法に記載されている必要項目に必要数当てはまれば対象の可能性があります。厚生労働省のホームページでも詳細が提示されているので、介護認定を受けていない場合はそちらを確認してみましょう。(※1)

(※1)参考資料:「よくあるお問い合わせ」厚生労働省 2022年11月5日利用
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/ryouritsu/otoiawase_jigyousya.html

利用期間

介護休業を使ってどれくらい休めるのかというと、対象家族1人につき3回まで、通算93日までとされています。しかし、93日間続けて取得するのではなく、30日・30日・33日と3回に分けて取得するなども可能です。

取得要件

介護休業を取得できるのは、対象家族を介護する労働者で、介護休業を開始した日前2年間に被保険者期間が12ヶ月以上必要となります(日雇い労働者や労使協定で一定の条件を満たしていない労働者は対象外となります)。

労働者にはパートやアルバイトなど有期雇用者も含まれます。有期雇用の場合は、「取得予定日から起算して、93日を経過する日から6か月を経過する日までに契約期間が満了すると決まっていないこと」という要件もあります。

パートやアルバイトの方は「入社1年以上」という条件も過去にありましたが、令和4年4月1日以降の申出からこの条件は廃止されています。 入社1年未満でも、申込み時点で被保険者期間や契約期間などの要件を満たしていれば取得可能なので安心してくださいね。

申込み方法

実際に介護休業を申込むには、休業開始予定日の2週間前までに、書面で事業主に申出が必要です。もし、介護休業の希望開始日までに2週間を切っていた場合も、取得可能な場合もありますので諦めないでくださいね。ただしその場合は、休業開始日は基本的に会社指定となるので注意しましょう。

介護休業給付金について

会社を辞めずに済むと思っても、その間の収入が不安に感じるのではないでしょうか。 次に、介護休業中に受取れる「介護休業給付金」について解説しましょう。

介護休業給付金の金額は休業開始時賃金月額の67%です。つまり給付額のトータルは、休業日数(最大93日)×賃金(日額)×67%となります。

仕事を休むことになっても収入がゼロにならず、給付金を受取れると精神的に安心できますよね。自分の場合はいくら程度になるのか計算し、事前に介護休業期間中の家計に備えておくとよいでしょう。

制度を利用する前に知っておくべき注意点

介護休業や介護休業給付金の制度を利用できるなら介護に安心して専念できると思える方もいるのではないでしょうか。しかし、介護休業や介護休業給付金を利用した後に、「知っておくべきだった」と後悔してしまうことがあります。

例えば、給付金が支給されるのは介護休業終了後となります。 介護休業期間中に給付金を受取ることができないため、その間の収支には注意して生活する必要があります。給付金の申請は休業終了してから次の日から2ヵ月〜3ヵ月(2か月を経過する日の属する月の末日まで)なので、休業後早めに申請しておくと受取りも早くなるでしょう。

また、同じ対象家族であれば複数の被保険者でも介護休業取得可能であることも知っておくとよいでしょう。 例えば、父親の介護のために介護休業を取得しようとしたとき、取得要件があればその父親の息子だけでなく、息子の妻も原則介護休業を取得できるということです。ただし、産休育休中の場合は介護休業給付金の支給対象になりません。介護休業給付金を受取りたい場合は、夫婦の間で事前に産休育休期間についても考慮しておくと安心でしょう。

会社を休まずに介護をしたい場合

介護休業を利用して仕事を休むのは、自分には合わないと感じる方もいるようです。会社を休まずに介護と両立したい、という方には介護休業以外の公的な制度を検討してみましょう。

介護休暇制度

介護休業よりも短期間・短時間の休みが希望の場合は、介護休暇制度を検討してみましょう。取得できる日数は対象家族が1人の場合は年5日まで、対象家族が2人以上の場合は年10日までとなっています。取得単位は1日だけではなく、時間単位も可能です。 介護休暇制度は基本的に書面ではなく口頭での申出のみでも可能とされていますが、書面が必要かどうかは社内規定を確認しましょう。

短時間勤務等の措置

仕事を休むのではなく勤務時間を短くするなどの措置もありますが、会社によって設けている制度内容が異なります。 週や月の所定労働時間や労働日数を短縮するだけでなく、フレックスタイム制、始業又は終業の時刻を繰り上げ又は繰り下げる制度(時差出勤の制度)、労働者が利用する介護サービスの費用の助成などがあります。

利用期間は、対象家族1人につき、利用開始の日から連続する3年以上と長期間となります。会社にどういった制度があるのかわかった後は、自分の仕事と介護の生活にはどういった勤務時間が合っているか、入念にシミュレーションしておくとバランスがとれやすくなるでしょう。

所定外労働、時間外労働、深夜業の制限

残業の免除や制限をする制度もあります。これらは1回につき、1か月以上1年以内の期間で回数の制限はなしとされています(深夜業は6ヶ月以内の期間)。しかし事業の正常な運営を妨げると判断された場合は、例外的に事業主は労働者からの請求を拒むことができます。

※所定外労働とはいわゆる残業で、就業規則などで定められている勤務時間を超える労働のことです。
※時間外労働とは、法定労働時間(原則1日8時間、1週間で40時間)を超える労働のことです。
※深夜業とは、午後10時から午前5時までの労働のことです。

自分の家族の介護と仕事を両立するにはどういった制度が合っているか、こういったものも幅広く確認して検討しておくとよいでしょう。

まとめ

いかがでしたか。条件を満たせば介護休業や介護休業給付金を取得できるため、会社を辞める必要はありません。制度内容をよく理解することで、経済的な負担や精神的な不安を少しでも減らせるようにしておきましょう。

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