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【FP監修】医療保険・がん保険のトレンドと見直しのポイント

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医療保険・がん保険の加入率はかなり高く、民保加入世帯(かんぽ生命を除く)における医療保険・医療特約の世帯加入率は93.6%、がん保険・がん特約の世帯加入率は66.7%(※) です。

これほどニーズが高いこともあり、医療保険やがん保険は次々と新商品が開発され、新しい保障が登場します。医療保険・がん保険の近年のトレンドを抑えておきましょう。

※出典:生命保険文化センター「2021年度 生命保険に関する全国実態調査<速報版>」

医療保険・がん保険の特徴

医療保険・がん保険のトレンドを確認する前に、まずは、医療保険とがん保険の特徴を整理しておきましょう。

公的医療保険を補完するもの

日本は、公的な医療保険制度が充実しています。公的医療保険(健康保険など)により、病気やケガの治療でかかった医療費の自己負担額は、原則3割に抑えられています。また、「高額療養費」という制度があり、年齢や所得によってひと月の自己負担額の上限が決まっていますので、医療費が青天井でかかるということはありません。

ただし、入院時の個室料金や食事代、諸費用など医療費以外の費用や、先進医療の技術料など、公的医療保険が適用されない費用もあり、この部分は全額自己負担となります。大きな病気やケガをすると、自己負担しなければならない費用が高額になることもあり、こうしたリスクに備えるために、民間の医療保険やがん保険があります。

医療保険・がん保険の仕組み

医療保険は、入院や手術の保障が基本になっています。

一般的に、5,000円や1万円など、入院1日につき受取れる金額(入院日額)を設定して加入します。入院給付金には、1回の入院で給付金を受取れる日数の上限(支払限度日数、60日型、120日型など)が設けられています。そして、所定の手術を受けたときには、入院日額の10倍や20倍などの手術給付金が支払われます。

この入院給付金と手術給付金を主契約として、先進医療特約や三大疾病特約、通院保障特約などさまざまな特約が用意されていて、自分のニーズに合わせて付加します。

がん保険は、がんを原因とする入院や手術を保障するほか、がんと診断されたときにまとまったお金(がん診断一時金)が支払われるものが一般的です。また、多くのがん保険には、契約してから90日の免責期間が設けられています。この期間にがんと診断されても、保障の対象にはなりません。

なお、医療保険はがんを含めた病気やケガ全般に備えることができますが、がん保険は、がんの治療に特化した保険であり、がん以外の病気やケガは保障されません。その分、がんになったときの保障が、一般の医療保険より充実しています。

もっとも、一般の医療保険には「がん特約」をつけられるタイプもあり、がん特約をつけることで、がんに対する保障を手厚くすることができます。

医療保険のトレンド

医療技術の進歩にともない、医療保険の保障内容も変化しています。最近のトレンドとして、「短期入院に対応」「手術給付金が公的医療保険に連動」「重大な病気への保障が充実」「健康増進をサポート」の4つが挙げられます。

短期入院に対応

以前の医療保険の入院給付金は、「5日以上入院した場合に、5日目から保障」するタイプが主流でした。しかし近年は、医療技術の進歩や政府の政策 により、入院日数が短くなってきています。こうした背景から、短期入院に対する保障のニーズが高まり、入院1日目から保障したり、日帰り入院でも保障したりする医療保険が増えています。

1入院あたりの支払限度日数も、入院の短期化によって短くなっています。以前は120日型が多かったのですが、最近は60日型が主流になっています。

また、入院日数にかかわらず、入院1回につきまとまったお金が受取れる「入院一時金」タイプの保険も増えています。

手術給付金が公的医療保険に連動

手術を受けたときに受取れる手術給付金も医療保険の基本保障の1つですが、給付の対象となる手術は、加入する医療保険によって2つのタイプに分かれます。

1つは、「保険会社が指定する88種類の手術」を対象とするタイプ、もう1つは、「公的医療保険が適用される手術」を対象とするタイプです。

現在は、「公的医療保険が適用される手術」を対象とするタイプが主流です。公的医療保険と連動するため、手術給付金を受取れるかどうかがわかりやすいうえ、これまで対象外だった手術が新たに対象となる場合もあり、医療技術の進歩に対応した仕組みといえるでしょう。

重大な病気への保障が充実

最近の医療保険は、特約をつけることで、がん、三大疾病、七大生活習慣病のような重大な病気や先進医療に対する保障を手厚くしている商品が増えました。

例えば、三大疾病で所定の条件を満たしたときに一時金を受取れる、保険料の払込みが免除になるといった特約をつけることができます。先進医療については、自己負担した技術料と同額を通算2,000万円まで保障、さらに療養1回につき10万~50万円程度の一時金を受取れるなど、保障が手厚くなっています。

健康増進をサポート

健康寿命が重視されている近年は、健康診断の結果や健康増進への取組みによって、保険料の割引やキャッシュバックを受けられる「健康増進型」の医療保険も登場しています。

健康年齢が実年齢より低いと保険料が安くなったり 、専用のアプリでチェックした健康状態に応じてポイントを付与する など、商品によってサービスの形態はさまざまです。

健康寿命の延伸は社会的な課題でもあるため、こうした保険加入者の健康増進をサポートするサービスは、今後ますます活発になっていくと思われます。

がん保険のトレンド

がんの治療法は日進月歩で進化し、多様化しています。これにともなって、がん保険の保障内容も多様化しています。最近のトレンドを見てみましょう。

上皮内がんにも対応

がんには、「悪性新生物」と「上皮内新生物」の2種類があります。以前のがん保険は、よりリスクの高い悪性新生物のみを対象とするものが一般的でした。

しかし近年は、上皮内新生物も悪性新生物と同様に保障する商品が増えています。ただし、上皮内新生物の場合は受取れる給付金の額が悪性新生物の10%になるなど、悪性新生物に比べると保障が少なくなる場合もあります。

診断一時金を複数回受取れる

がんの生存率は年々上昇しており、がんは「治る」病気になってきました。その反面、がんの再発や転移に備える必要があり、診断一時金を複数回受取れる商品が増えています。

通院治療や在宅療養に対応

がんの治療法というと、以前は入院して手術が中心でしたが、現在は、通院での放射線治療や抗がん剤治療も多くなりました。そのため、「診断一時金+入院・手術の保障」といった以前のがん保険では、がんへの備えが十分とはいえない場合もあります。

こうしたがん治療の多様化への対応として、抗がん剤治療給付金や放射線治療給付金など、治療給付金を充実させたがん保険もあります。また、在宅療養や緩和ケアに対する保障も登場しています。

医療保険・がん保険の見直しのポイント

保険を見直すタイミングは、結婚、子どもの誕生・独立、ご自身の転職・退職など、ライフステージが変化した時が一般的です。

医療保険やがん保険は、これに加えて、加入している保険が現在の医療に合っているか、必要な保障を受けられるかを定期的にチェックすることも大切です。

医療保険もがん保険も、以前は入院や手術の保障を手厚くした保険が主流でしたが、最近は入院が短期化し、通院だけで治療するケースも増えました。せっかく保険に入っていても、十分な保障を受けられない場合もあります。

現在の保障で不足するようなら、特約の上乗せや新しい保険への加入などを検討してみてもよいでしょう。

ただし、年齢が高くなればなるほど保険料も高くなるのが一般的ですので、新規に加入する場合は注意が必要です。保障内容と保険料を見比べて、慎重に判断するようにしましょう。

まとめ

医療技術の進歩にともない、医療保険やがん保険の保障内容は比較的短期間で変化しています。10年前に加入してそのままという場合は、十分な保障を受けられないケースも出てきます。

加入している保険が現在の医療に合っているか、その保険でリスクに備えられるかを定期的にチェックするようにしましょう。

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