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【FP監修】保険料は控除対象に? 年末調整の保険料控除の書き方を解説!


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毎年10月を過ぎると、保険会社から「保険料控除証明書」が送られてきます。「これは何に使うの?」と疑問に思った方もいらっしゃるかもしれません。

会社員など給与の支払いを受けている人は、11月から12月にかけて、勤務先から年末調整の書類の提出を求められます。保険料控除証明書は、この年末調整で使われる大切な書類です。

この記事では、年末調整の保険料控除について、必要書類の書き方も含めて解説します。

年末調整とは?

年末調整とは? 何のために行うの?

所得税の税額は、その人の一年間の収入によって決まりますが、それが確定するのは年末です。しかし、一年間の収入が確定してから一度に国民全員の税金を徴収すると、手間がかかる上に国の財政が安定しません。そこで、多くの人が受け取る給与や年金など特定の収入においては、あらかじめ収入から所得税を天引きする「源泉徴収」を行っています。

給与の場合は、会社などの給与支払者が役員や従業員に対して給与を支払う際に源泉徴収を行っています。

源泉徴収時点の所得税はあくまでも概算によるものですので、その年の収入額が確定した時点で再計算した正しい税額との間にずれが生じることがあります。給与においてこの二つの金額を給与支払者が一致させる手続きを「年末調整」といいます。

年末調整で受けることのできる控除

所得税の額は、その年の収入の合計金額から、その人の世帯状況などにあわせて一定金額を差し引いて計算されます。これを「控除」といいます。

この控除には、大きく分けて「所得控除」と「税額控除」の2種類があります。

所得控除とは、一年間の所得(収入から経費等を差し引いたもの)から一定金額を差し引くことです。一方で、税額控除は、算出された所得税額から条件に応じて一定の金額を差し引きます。

給与収入は、経費の代わりとして給与の額面金額に応じた「給与所得控除額」が差し引かれます。つまり、給与収入のみである場合に一年間で納めるべき所得税の額は、

{(給与収入-給与所得控除額)-所得控除額}×所得税率-税額控除額

の計算式で求めた金額に1.021(復興特別所得税)をかけた金額になります。

年末調整で受けることのできる所得控除には、配偶者控除や扶養控除など家族に関わる控除、障害者控除やひとり親控除、勤労学生控除など自身の状況に応じた控除のほか、保険や共済の支払保険料や掛金に応じて受けられる生命保険料控除、地震保険料控除、健康保険料や年金保険料に応じて受けられる社会保険料控除、確定拠出年金(iDeCoなど)の掛金に応じて受けられる小規模企業共済等掛金控除(以上「所得控除」)などがあります。

税額控除である住宅ローン控除は初年度のみ確定申告が必要ですが、2年目以降は年末調整で控除を受けられるようになります。

年末調整で還付または徴収される金額は、上記の金額と源泉徴収された税額の合計額との差額です。

つまり、所得控除額および税額控除額が大きいほど納めるべき所得税の金額が減り、それによって源泉徴収された金額との差が広がるため、還付される金額が増えることになります。

年末調整の保険料控除とは?

前述の所得控除のうち、保険に関係する控除に「生命保険料控除」、「地震保険料控除」、「社会保険料控除」、「小規模企業共済等掛金控除」の4つが挙げられます。

保険やiDeCoなどに加入している人は、年末調整において、これらの控除を忘れずに申告するようにしましょう。そうすることで、税金の負担を減らすことができます。

以下、それぞれについて、概要と申告方法を解説していきます。

生命保険料控除について

納税者が一般生命保険料(定期保険、終身保険、養老保険、学資保険など)、介護医療保険料(医療保険、がん保険、介護保険など)および個人年金保険料(個人年金保険など)を支払った場合に受けられる所得控除を「生命保険料控除」といいます。

控除額の計算方法

平成24年1月1日以後に締結した保険(新契約)か、平成23年12月31日以前に締結した保険(旧契約)かによって控除の取り扱いが異なります。

新契約の場合

一般生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料のいずれも、下記の計算式で所得税の控除額を求めることができます。それぞれ最大4万円、合計で最大12万円の所得控除が受けられます。

年間の保険料控除額
20,000円以下年間保険料の全額
20,000円超 40,000円以下年間保険料 × 1/2 + 10,000円
40,000円超 80,000円以下年間保険料 × 1/4 + 20,000円
80,000円超一律 40,000円

旧契約の場合

一般生命保険料、個人年金保険料それぞれについて、下記の計算式で所得税の控除額を求めることができます。それぞれ最大5万円、合計で最大10万円の所得控除が受けられます。

年間の保険料控除額
25,000円以下年間保険料の全額
25,000円超 50,000円以下年間保険料×1/2+12,500円
50,000円超 100,000円以下年間保険料×1/4+25,000円
100,000円超一律50,000円

申告方法

生命保険料控除を受けるには「生命保険料控除証明書」と「保険料控除申告書(以下、申告書)」の2つが必要です。

申告書は、国税庁のホームページから入手できます。

生命保険料控除証明書は、保険料を支払ったことを証明する書類で、加入している保険会社から10〜11月ごろに送付されます。この証明書を申告書に添付して勤務先に提出したうえで、年末調整を受けます。

申告書の書き方

申告書の「生命保険料控除」の記入枠内に、必要事項を書いて提出します。具体的な記入手順は以下の通りです。

  1. 該当箇所に保険会社の名称、保険の種類、保険期間、契約者名などの基本事項を記入する。
  2. 加入している保険が新契約か旧契約かを選択し、年間の保険料を記入する。
  3. 加入しているすべての生命保険について、上記1と2を行う。
  4. 支払った保険料の金額を新契約・旧契約に分けて合計し、該当箇所に記載する。
  5. 新契約・旧契約ごとに、枠内下部に記載されている計算式に基づいて控除金額を算出し、記入する。
  6. 1~5の手順を一般の生命保険料、介護医療保険料および個人年金保険料について行う(介護医療保険料は新契約のみ)。
  7. 最終的な控除金額を合算し、該当箇所に記入する。

注意点

前述のとおり、平成24年1月1日を境に新契約か旧契約かが異なります。これによって、控除対象となる保険の種類と控除金額の上限が異なります。

また、新契約と旧契約の両方の保険に加入している場合は、それぞれの保険料ごとに控除額を合算した金額もしくは旧契約のどちらか大きい金額が適用されますが、各保険料の控除金額上限は4万円もしくは5万円で、合計12万円が上限となります。

地震保険料控除について

納税者が地震保険料を支払った場合も、一定額の所得控除を受けることができます。

控除される金額は、年間支払保険料が5万円以下の場合は支払った金額の全額、5万円超の場合は一律5万円です。

なお、平成18年の税制改正で損害保険料控除が廃止になりましたが、以下の条件を満たす旧長期損害保険は、地震保険料控除の対象として扱うことが可能です。

  • 平成18年12月31日までに締結した契約であること。
  • 満期返戻金等のあるもので、保険期間が10年以上であること。
  • 平成19年1月1日以後に保険内容を変更していないこと。

申告方法

地震保険料控除を受けるには「地震保険料控除証明書」および「申告書」の2つが必要です。

地震保険料控除証明書は、保険料の支払いを証明する書類です。保険を契約した年は「保険証券」に同封されて送付されますが、契約した年の翌年以降は、10〜11月ごろにハガキで送られてきます。

申告書の書き方

申告書の「地震保険料控除」の記入枠内に、必要事項を書いて提出します。具体的な記入手順は以下の通りです。

  1. 保険会社の名称や保険の種類などの基本事項を記入する。
  2. 地震保険か旧長期損害保険かを選択し、その年間の保険料を記入する。
  3. 枠内下部に記載されている計算式に当てはめて控除金額を算出する。

注意点

地震保険料控除の上限金額は5万円、旧長期損害保険料控除の上限金額は1万5,000円であることに注意が必要です。

両方に加入している場合、控除金額はそれぞれの金額を合算した額で、その上限は5万円となっています。

社会保険料控除について

納税者が、自分や家族(生計を一にする親族)の社会保険料を支払った場合は、その支払った全額について所得控除を受けることができます。

会社などに勤務している場合、一般的に社会保険料は給与から天引きされるため、会社側で控除額を把握しており、申告は不要です。ただし、子どもの国民年金保険料を代わりに支払っていたり、過去の未納分を支払ったりしたなど、天引きされているもの以外にさらに社会保険料を支払っている場合には、年末調整で申告する必要があります。

申告方法

社会保険料控除のうち、国民年金保険料および国民年金基金の掛金の控除を受けるには、「社会保険料控除証明書」および「申告書」の2つが必要です。

社会保険料控除証明書は、保険料(掛金)の支払いを証明するもので、10~11月ごろに送られてきます。

なお、国民健康保険の保険料も社会保険料控除の対象で、控除証明書の代わりに領収書などの国民健康保険を支払った証拠となるものが証明書になります。ただ、年末調整時に証明書の添付は不要です。国民健康保険の証明書は原則5年間、手元に保管しておきましょう。

申告書の書き方

申告書の「社会保険料控除」の記入枠内に、必要事項を書いて提出します。具体的な記入手順は以下の通りです。

  1. 国民年金や国民健康保険などの社会保険の種類、保険料支払先の名称などの基本事項を記入する。
  2. 各保険の年間の保険料を該当箇所に記入する。
  3. それらの金額を合算する。

注意点

前述のとおり、給与から天引きされている社会保険料については、会社側で把握しているため、申告は不要です。

社会保険料控除には控除額の上限がなく、支払った保険料の全額が控除されます。節税効果が高いので、家族の分を支払っている場合は、忘れずに申告するようにしましょう。

小規模企業共済等掛金控除について

「小規模企業共済等掛金控除」とは、納税者が小規模企業共済法で規定された共済契約に基づく掛金などを支払った場合に受けられる控除のことです。支払った掛金の全額が控除されます。

対象となる掛金は以下の3種類です。

  • 小規模企業共済法によって中小企業基盤整備機構と結んだ共済契約の掛金
  • 確定拠出年金法に基づく個人型または企業型の年金加入者掛金
  • 地方公共団体が実施する心身障害者扶養共済制度の掛金

会社員や公務員の場合は個人型確定拠出年金「iDeCo」に加入しているとこの控除を利用することができます。

申告方法

小規模企業共済等掛金控除を受けるには「小規模企業共済等掛金払込証明書」および「申告書」の2つが必要です。

小規模企業共済等掛金払込証明書は、掛金を支払ったことを証明する書類で、10~11月ごろに送付されます。

申告書の書き方

申告書の「小規模企業共済等掛金控除」の記入枠内に、必要事項を書いて提出します。具体的な記入手順は以下の通りです。

  1. 中小企業基盤整備機構と結んだ共済契約の掛金を該当箇所に記入する。
  2. 企業型年金加入者の掛金を該当箇所に記入する。
  3. 個人型年金加入者の掛金を該当箇所に記入する。
  4. 心身障害者扶養共済制度に関する契約の掛金を該当箇所に記入する。
  5. 1~4を合算し、該当箇所に記入する。

注意点

iDeCoに加入している場合は忘れずに小規模企業共済等掛金控除を申告しましょう。ただし、掛金を給与から天引きにしている場合は、会社側で控除手続きを行っていますので、申告は不要です。

小規模企業共済等掛金控除も社会保険料控除と同様に、支払った掛金の全額が控除されます。ただし、社会保険料控除とは異なり、家族の掛金は対象とならないことにご留意ください。

申告は忘れずに

ここまで述べてきたとおり、その年に支払った保険料を年末調整で申告することで、納めるべき所得税の金額を減らすことができます。

年末調整はあくまで、正しい所得税の額を確定させる手続きですが、ここで確定された所得税額に基づいて翌年の住民税が計算されます。つまり、年末調整は所得税だけでなく、住民税の金額にも影響するのです。

保険料控除は、自分で申告しないと受けることができません。保険会社から保険料控除証明書が送付されてきたら紛失しないよう保管しておき、年末調整の際に忘れずに申告するようにしましょう。

なお、個人年金保険や学資保険のように、将来の必要資金を蓄えながら保険料控除の対象になる保険商品もあります。上手に活用することで税金の負担を減らすことができますので、必要な場合には検討してみてください。

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